質問主意書

第98回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

防衛費の新たな歯止めに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年二月五日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   防衛費の新たな歯止めに関する質問主意書

 防衛予算の基本的構造が変わらない限り、来年度にも防衛費がGNPの一%を超えることは必至であろう。後年度負担の歳出化が予定通りに行われた場合には、昭和五十九年度で早くもGNPの一・二%ないし一・三%に達するものと見られている。
 そこで次の諸点について質問する。

一 中曽根総理大臣は、去る一月二十九日、参議院本会議での答弁の中で「防衛費の歯止めについてはそれが必要になつた時に考える。」と述べているが、来年度にも一%突破が予見されている時点では、この答弁はいかにも投げやりであり安易ではないか。
 政府は、防衛費の新たな歯止めの必要を真剣に考えているのか。

二 そのためにどんな努力と検討作業を進めているのか。

三 遅くとも昭和五十九年度予算の概算要求に入る今年七月までには、防衛費の新たな歯止めを決定すべきではないか。

四 その場合は抽象的ないし理念的なものと、パーセンテージ又はそれに類する数量的表現の両面を共に考えるべきではないか。

五 防衛費に関する最大の歯止めは憲法であり、平和を希求する最大多数の国民の意志、世論ではないのか。

六 一%を超えたから即軍国化とするのは短絡にしても、少なくとも政府としては重大な方針転換であることは否定出来まい。国民の新たな合意形成に向けて大きな又真摯な努力が必要ではないか。

七 防衛費の新たな歯止めを考える場合、「兵力量の上限」をきめるのも一つの方法ではないのか。

八 その場合、防衛計画の大綱水準の戦力が即ちその兵力量の上限と考えてよいか。

九 例えば、一つの案として「総合安全保障支出指数」的なものを算定する考えはどうか。(防衛費、対外援助、人道援助などのGNP比を一定の比重をかけた上で加えたもの。)

十 中曽根総理大臣の構想として伝えられた「安全保障問題に関する臨時調査会」は、いつ頃現実化する考えか。検討と準備は進んでいるのか。
 その性格、構成、メンバー等は全く白紙か。

  右質問する。