質問主意書

第96回国会(常会)

答弁書


答弁書第三一号

内閣参質九六第三一号

  昭和五十七年八月十日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員市川正一君提出ブロック米通商代表書簡にある通商産業省が作成したとされる市場開放対策に関する首相談話の案文を指示する添付文書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員市川正一君提出ブロック米通商代表書簡にある通商産業省が作成したとされる市場開放対策に関する首相談話の案文を指示する添付文書に関する質問に対する答弁書

一について

(1) ブロック米国通商代表の櫻内外務大臣等あての複数の書簡(以下「ブロック書簡」という。)に内閣総理大臣の談話の一案が添付されていたことは事実であるが、同書簡及びその添付文書の内容の詳細については、日米間の話合いの経緯にかかわるものであり、また、相手側の立場もあるので明らかにできない。
(2)及び(3) 本件に係る内閣総理大臣の談話は、我が国が自主的に決定したものであることは明らかであるので、本件は「属国扱い」とか「内政干渉」といつた問題ではなく、強いて抗議するほどのことはないものと考える。

二について

 通商産業省は、ブロック書簡の添付文書を同省が作成して米国に持ち込んだという事実はないことを確認しており、外務省がブロック書簡について行つた情報収集の詳細については外交上の配慮もありお答えできないが、通商産業省が添付文書を米側に渡していないという点については、これを否定する事実を確認しているものではない。

三について

(1)及び(2) 通商産業省に対し、いわゆる三極会合の際の個別会談の項目について米側から問い合わせがあつたので、通商産業大臣の指示により、外国製品及び外国投資の歓迎を骨子とする内閣総理大臣の談話について個別会談で説明する旨及びその骨子を米側に電話で通報した。
(3)及び(5) 外国製品及び外国投資の歓迎を骨子とする内閣総理大臣の談話を出すことについては、五月四日内閣官房長官、五月六日内閣総理大臣から大筋了承があつた後、(1)及び(2)において述べたように米側へ通報したものであつて、ブロック書簡が五月十一日付けで発出されていることからも、内閣総理大臣の談話について我が国が自主的に決定したものであることは明らかである。
(4) 原案につき関係各省庁間で事前に調整を行つた後、五月二十八日の閣議において鈴木内閣総理大臣から発言があつた内容を発表したものである。

四について

 ブロック書簡及びその添付文書の内容の詳細については、日米間の話合いの経緯にかかわるものであり、また、相手側の立場もあつて明らかにできないので、所見を述べることは差し控えたい。
 ただ、政府としては、むしろ大企業性製品であるコンピューター、自動車タイヤ、写真フィルム等を中心に工業製品の関税引下げを行つているように、農業や中小企業にしわ寄せをしている事実はなく、そのような考えも持つていない。