質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第三二号

漢方生薬の需要動向、確保対策及び流通体制の確立等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年八月二十一日

塩出 啓典   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   漢方生薬の需要動向、確保対策及び流通体制の確立等に関する質問主意書

 近年、医療において、薬づけ、検査づけといつた乱診乱療の弊害が問題とされるに伴い、国民間に東洋医学に対する関心が高まつている。とくに、漢方薬に対する需要増加が著しい。その消費は年々増加傾向にあり、生薬消費市場の一般向けでは、昭和五十年の五十三億円から昭和五十六年は五百二十億円へと七年間に約十倍の伸びであり、医家向けにいたつては、昭和五十年の十億円から昭和五十六年は百九十七億円へと約二十倍の伸びを示している。
 さらに最近、薬価基準収載品目も増加し、病院、診療所でもその投薬が容易になり、今後の原料生薬需要の増加が十分予測されるところである。
 今日までのわが国の生薬需要の大部分は、輸入に頼つてきたのが現状である。昨年実績では、国内生産は約八%で、中国からの輸入が七二%、韓国その他からの輸入二〇%となつている。
 しかし、中国は工業近代化のため、外貨獲得の必要上、経済価値の高い薬剤製品としての輸出を希望しており、さらにまた、中国十億国民の医薬用として、野性品種が不足しているなどの理由により、今後、現在以上の輸入は困難となると思われる。五年後には、中国は輸出をストップするのではないかと懸念する声もある。
 かかる観点から、生薬資源確保のため、国の積極的な支援が必要と思われる。以下の点について、政府の所見並びに対策を伺いたい。

一 生薬の国内需要動向の的確な把握のため、情報システムの整備が急務であると思うがその対策を伺いたい。

二 生薬資源確保について、その具体的施策を伺いたい。

三 とくに、国内における生薬の適正な生産振興対策を伺いたい。

四 わが国農政の水田再編対策上、薬草を特定転作作物に指定すべきであると考えるが、どうか。

五 薬用作物の栽培技術は、米、麦などの一般農作物に比較し、著しくおくれている。栽培技術や種苗の確保に対し、いかなる指導、援助を行つていく考えであるのか。

六 薬用作物の生産技術についての指導者がいないため、病害の発生や生育不全、低収量がおきている。的確な指導者の育成が急務と思われるが、どうか。

七 開発途上国より安価に輸入されるものと国内生産になじむものとの選別を明確にして、生産の指導体制をとるべきであると考えるが、どうか。

八 生産実態把握のため、生産流通体制の確立が急務であると思うが、どうか。

  右質問する。