質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

東京都市計画一団地(霞ケ関団地)の官公庁施設についての都市計画の見直しに関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年七月二十四日

二宮 文造   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   東京都市計画一団地(霞ケ関団地)の官公庁施設についての都市計画の見直しに関する再質問主意書

 昭和五十七年六月二十九日付内閣答弁書(内閣参質九六第二一号)を賜つたところであるが、なお不明確・不十分な点が残されているので、以下の諸点についてさらに見解を承りたい。

一 未買収地の買収については「施設整備の進捗に合わせ順次買収を行うこととしている」とあるが、このことは施設整備が進まなければ買収しないとの意味に解される。そうだとすれば、遅々とした施設整備の進捗状況からみて、買収はさらに長期を要することになると思料される。民有地の買収に関するこうした方針は、第二十四回国会の官庁営繕法の一部を改正する法律案の審議における提出者衆議院議員田中角榮君の「民有地を必要とする場合は、双方合意の協定に基づいて買い上げを行うことになるから、指定されても私権を大きく制限するというようなことは実際的に行われない」との答弁(昭和三十一年四月四日参議院建設委員会)と矛盾するのではないか。

二 都市計画法第五十三条による建築行為の制限は、公共の福祉のために土地の所有権に一般的に認められる内在的制約ではあるが、無期限に制約を課すことのできるものではないと考える。それ故に、おおむね五年毎に都市計画に関する基礎調査が実施され、その結果に基づいて都市計画の見直しが行われており、また、計画論としても、都市計画はおおむね二十年の見通しのもとに策定されるのではないのか。然るに、民有地に対し厳しい制限を課したまま、不相当に長期間これを放置し、しかも、都市施設整備に対する具体的計画図もない現状は、財産権の行使の自由を侵すものといわざるを得ない。従つて、これに対し正当な補償をするのは当然と考えるが、再度見解を承りたい。

三 「……土地所有者の申出により積極的に買収交渉に応じているところであるが、今後、更に買収を円滑に推進するよう努めてまいりたい」とあるが、その意味するところは、土地所有者からの申出による買収のみでなく、国も積極的に買収交渉を働きかけるよう努めることと理解してよいか。

四 仮に従前通り、土地所有者の申出のみで買収を進めるものとすれば、本年五月十三日の参議院建設委員会における始関建設大臣の「必ずしも交渉に来るのを待つということでなしに、こちらからいろいろお話をすることを検討したい」とする答弁と矛盾するのではないか。

五 霞ケ関団地の官公庁施設に関する都市計画は「……適切な規模で必要な位置に定められている」とあるが、その判断は単に土地利用や交通量等の現状と将来見通しのみでなく、広く経済・社会情勢や国の役割の変化等についても配慮されるべきものと考えるがどうか。

六「……当該都市計画の区域から除外することは妥当ではない」とあるが、このことは前記委員会における丸山建設大臣官房長(現建設事務次官)の「見直しを十分に検討する」との答弁と矛盾するのではないか。それとも、十分に再検討したうえでの結論なのか。もし、そうであるならば、その検討経過を明らかにしていただきたい。

  右質問する。