質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第二九号

防衛費の枠に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年七月二十二日

黒柳 明   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   防衛費の枠に関する質問主意書

 昭和五十一年十一月の「当面、各年度の防衛費はGNPの一%を超えないことをめどとする」との閣議決定は、56中期業務見積もりの予算化作業の進行とともに崩壊の危機に大揺れしている。
 そこで以下の項目について質問し、政府の所信の明示を求める。

一 56中業期間中の見積もりの正面装備総額四兆四千~六千億円、防衛費総額十六兆円は、これを昭和五十八年度から昭和六十二年度の各年度に予算化すれば、それぞれの年度のGNPの一%を超える防衛費計上が事実上の問題となることは必至と思うがどうか。

二 政府は、昭和五十一年十一月の閣議決定の「一%を超えないことをめどとする」の受けとめ方は、一応のめどであつて、著しい超過でなければよしとするのか、シビアに考えているのか。

三 この閣議決定は大方の国民のコンセンサスとなつているものである。しかるに一方、この56中業は実質五・一%成長を前提にした上で「一%」枠を設定したのに、来年度以降の中期の経済見通しは、経済審議会での見直しの結果では、実質四%前後が確実と見られ又、昭和五十六年度の確定成長率は二・七%にとどまつた。かりに、三%以下の低成長が続けば、56中業装備を含む防衛費の予算と「一%」枠との関係はどうなるか。著しい「一%」枠超過がありうるのかどうか。また、その傾向が数年度にわたり見通されるとき、閣議決定の取扱いをどうするか。

四 閣議決定の「当面」について政府の見解を明示せよ。

五 政府は、56中業そのものが、安易な経済成長の前提の上に立ち、かつ、米国からの強い影響を受けて軍拡の方向へ進んで行く性質のものであることを反省し、中業の経済成長に見合う有効適切な見直し検討を行うべきと思うがどうか。

  右質問する。