質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

限定核戦争等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年一月四日

黒柳 明   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   限定核戦争等に関する質問主意書

 ライシャワー発言以来、わが国においても核論議が、深刻な問題となつた。また、西欧諸国の反核運動の高まり、レーガン政権と同盟国の不協和音、戦域核をめぐる米・ソの応酬など、事態は予想以上に急テンポで進んでおり、国際緊張を激化させている現状である。
 以上の点から、次の項目について、質問をする。

一 レーガン米大統領の発言等にもみられるように、最近、米国の核軍備増強計画の中で、「限定核戦争」が、起こりうるかどうか。わが国政府として、どのように認識しているか。

二 米・ソ両国は、この二十年間、核の均衡による相互抑止を目指してきたが、部分的核実験禁止条約、核拡散防止条約、SALTI、米ソ核戦争防止協定が、取り交わされてきたが、米ソ不戦体制が、どれくらい発展してきたかは、非常に疑問であるとの見地から、安定した相互抑止というものが、実際に、あり得るかどうか。

三 米国は、「戦域核兵力の一部」としてトマホーク極東配備を唱えているが、トマホーク装備が決まつている艦の中には、従来、日本に寄港していた艦が少なくないが、これら搭載艦の入港を認めるかどうか。

四 わが国は、ソ連の軍事的脅威を明らかにしているが、ソ連の極東の核配備に対して、どのような対応をとつているか明らかにされたい。

五 限定核攻撃に対して、防衛庁は、どのような研究をしているか。この種の問題に対して訓練等を行う必要があるかどうか。

六 最近の中南米非核地帯条約批准に関する米上院外交委員会の公聴会記録が発表され、また米国防省高官は、公明党の質問に対し、「核兵器積載艦船や、同航空機の日本立ち寄りは、日本政府に通告しない。日本への核の一時持ち込みは、全く日本側の制約を受けない。」ことを明らかにした。このことは、従来、日本政府がとつてきた見解と、全く逆の立場をとつていることになり、事前協議は、事実上、空文化していることになる。米艦船及び航空機の一時寄港に対して、米国側と、具体的に話し合つたかどうか、明らかにされたい。

七 米国防省高官は、「一時持ち込みに対し、日本政府の問い合せにも応じないし、事前通告はあり得ない。」と答弁しているが、このことは、米側は、事前協議制を全く無視した姿勢であり、この姿勢がある以上、今後、日本に立ち寄る核積載可能な米艦船、航空機に対し、チェックをするかどうか。

八 核兵器が、ひとたび使用されたら、それが戦域核であつても、全面核戦争に発展していくことは、明らかである。そこで政府は、核兵器廃絶に対して、どのような実績をあげてきたか明らかにされたい。

  右質問する。