質問主意書

第96回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

休眠組合の整理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十七年一月四日

佐藤 三吾   
野田 哲   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   休眠組合の整理に関する質問主意書

 鹿児島県鹿児島市小川町に「組合員のための共同店舗の建築およびその管理」を主たる事業目的として昭和二十六年九月二十九日に設立された「小川町商店街協同組合」は、四十名の組合員で構成された活動組合であつた。時価約三億円と評価される不動産を所有し、設立以来約三十年間、法令、定款の定めに基づいて運営がなされ、事業継続の意思も能力もある法人団体であつたが、代表理事の背任行為が表面化したため、役員解任を恐れて昭和五十四年十二月以降定期総会も開催せず、昭和五十四年度決算及び昭和五十五年度以降の事業計画予算案の総会承認のないまま、昭和五十六年十月を迎えるに至り、清算法人に移行し自動的に旧理事が清算人として就任登記を行つたことから大混乱が生じていると聞いている。
 公正な経済活動の機会を確保し、相互扶助の精神に基づいて自主的な経済活動を促進する「中小企業等協同組合法」の目的及び昭和五十五年の「中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案」の審査にあたつて全会一致で決議された附帯決議「二、いわゆる休眠組合の整理にあたつては、本改正の趣旨を周知徹底させる等、混乱が生じないよう十分措置すること。」との関連から次の各項目について質問する。

一 休眠組合の一括整理の現状について

 政府は、昭和四十九年の商法改正(休眠会社の整理)に準じ、昭和五十一年に調査を行い、約二万二千の休眠組合の存在が明らかになつたとして、昭和五十五年の中小企業等協同組合法等の一部改正にあたつて、公益上存在が許されない休眠組合の強制的な一括整理、解放(臨時措置)のため、中小企業等協同組合法施行法に第三十六条(中小企業等協同組合の解散の特例等)第一項「昭和五十六年十月一日において、最後の登記をした後十年を経過している中小企業等協同組合は、その日に解散したものとみなす。」との規定を追加した。
 そこで、

(1) 昭和五十六年十月一日現在、「みなす解散」規定の適用を受けた休眠組合の都道府県の現状を明らかにされたい。
(2) 鹿児島県において、昭和五十一年調査の時点と、「みなす解散」規定が適用された昭和五十六年十月一日現在とで、休眠組合の状況はどのようなものになつたか明らかにされたい。
(3) 小川町商店街協同組合は、昭和五十一年の実態調査では、休眠組合該当組合であつたのか、活動組合該当組合であつたのかについて明らかにされたい。

二 休眠組合一括整理のPR活動について

 中小企業等協同組合法施行法第三十六条に関する昭和五十五年五月八日の衆議院商工委員会での審査において、政府委員(植田守昭 中小企業庁指導部長)は「万一事業を継続しているにもかかわらず、うつかりして解散とみなされてしまつたというようなことが起こりますと、それはやはり大変な問題でございますので、これを実施するに際しましては、十分のPR期間をとり、五十六年十月一日という期日を基準日と定めました。」「PRにつきましては、やはり中心は中央会系統、これは組合の指導機関でございますので……各種の団体、こういつたものを通じまして十分のPRをしたいと思つています。当然、テレビ等のPR媒体も通じましてPRしていくということにいたしたいと思います。」(衆議院商工委員会会議録第二十一号二十頁)と答弁しているが、鹿児島県における休眠組合に対する行政指導(業務改善命令の発動状況等)及びPRの状況について明らかにされたい。

三 優良協同組合表彰の選考基準について

(1) 鹿児島県において、中小企業等協同組合法施行三十周年を記念して小川町商店街協同組合が、昭和五十四年十月十六日、鹿児島県中小企業団体中央会会長菅政春名によつて優良協同組合として表彰されたと聞いているが事実か、事実とすればその表彰の選考にあたつて用いられた基準について明らかにされたい。
(2) 小川町商店街協同組合の場合、最後の登記を行つたのは昭和四十六年四月七日である。法令、定款の定める役員の任期は三年で改選ごとに登記する義務があり、従つて十年間登記しなかつたことになる。少なくとも三回の登記の義務を怠つた協同組合が表彰の対象となつたとすれば、行政庁である鹿児島県及び指導機関であるべき中小企業団体中央会の在り方に問題があるのではないか。事実関係を明らかにされたい。

四 鹿児島県知事の監督指導について

 小川町商店街協同組合の一般組合員が鹿児島県知事に対し、昭和五十六年二月二十三日中小企業等協同組合法第百五条第一項の規定に基づき検査請求を行つたと聞いているが事実か。事実とすれば、検査はいつ、どのような形で実施されたのか、業務改善命令が発動されたのか、中小企業等協同組合の育成、発展を図るべき立場の行政庁として、鹿児島県知事はどのような監督、指導を行つたのか、その経緯について明らかにされたい。

五 協同組合役員の政治活動について

 小川町商店街協同組合の代表理事は、鹿児島市長の後援会に加入することを組合員に強要し、これらの政治活動に協同組合の経費が支弁されていると聞いているが事実か、検査請求に基づき鹿児島県が実施した検査結果ではどのようになつているのか、中小企業等協同組合法第五条(基準及び原則)第三項「組合は、特定の政党のため利用してはならない。」との規定との関連で実態を明らかにされたい。

  右質問する。