質問主意書

第95回国会(臨時会)

答弁書


第九十五回国会答弁書第一〇号

内閣参質九五第一〇号

  昭和五十六年十二月二十二日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員峯山昭範君提出政府関係機関の予算・決算制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員峯山昭範君提出政府関係機関の予算・決算制度に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 政府関係機関の予算・決算制度において現行のような収入支出予算・決算方式を採用している理由は、政府関係機関の行う事業が高度に公共性を有するものであり、また、その事業資金について国家財政ないし最終的には国民の税負担と緊密な関係を有することから、その事業に係る資金、経費等について、予算・決算による国の統制を行う必要があり、また、その事業の運営に当たつては、極力企業性を発揮させるとともに、その事業の成果を的確に判定するという観点から、企業会計の原則に準拠した損益計算書、貸借対照表等の財務諸表を作成させる必要があるためである。
(2) 政府関係機関の事業活動については、一方においてその事業の公共性等からの国による所要の統制と、他方において企業性を発揮し、その成果を国民に示すこととの調和が図られることが基本的に必要であると考える。
 国の統制については、現行制度上は収入支出予算の形式によりその事業に係る資金、経費等の規制を行うこととなつているが、この制度においても、予算の移流用、予備費の使用、弾力条項等予算執行上の弾力性が付与されている等企業性を発揮し得るよう配慮されている。
 また、事業の成果を国民に公表することについては、別途企業会計的な財務諸表を作成し、これにより判断できることとなつている。
 このような現行の予算制度と企業会計の併用方式は、それぞれ公共性と企業性の要請にこたえ、かつ、これを調和させるという観点からのものであり、この目的と性格の相違を考慮すれば、収入支出予算・決算方式を廃止して企業会計的な予算・決算制度に一元化することは、必ずしも適当であるとは考えられない。

二について

(1) 日本国有鉄道の予算参照書における一般勘定損益計算書については、日本国有鉄道が予算に添付して運輸大臣に提出することになつているが、現行の様式が定められるに際しては、収入支出予算の科目区分との関連等を配慮しつつ、日本国有鉄道、運輸省及び大蔵省が協議したものである。
 一方、日本国有鉄道の決算書における一般勘定損益計算書については、日本国有鉄道が、会計規程において、事業の成果の把握に資するための科目区分を重視して、その様式を定めたものである。
 また、他の公社において見受けられる事態についても、おおむね同様の事情である。
(2) (1)において述べたとおり、公社の損益計算書については、それぞれの趣旨に即し科目区分を行つているところである。御指摘の予算と決算における公社の損益計算書の科目区分については、これまでの経緯等も踏まえ、慎重に研究してまいりたい。