質問主意書

第95回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質九五第三号

  昭和五十六年十月二十日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出アラビア縦断送油ライン建設構想に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出アラビア縦断送油ライン建設構想に関する質問に対する答弁書

一について

 アラビア縦断送油ライン構想について、一部の商社及び関連メーカー等民間企業の間で検討が行われていることは承知しており、推進母体としての「湾岸パイプライン開発協議会」の設置を呼び掛ける動きもあると聞いているが、協議会が設置されたとの情報は得ていない。

二及び四について

 アラビア縦断送油ライン構想について、現在までのところ、サウディ・アラビアからの打診又は意向表明が行われたという事実は確認していない。

三について

 サウディ・アラビア、アラブ首長国連邦及びオマーンは、現在のところ、相互に良好な友好協力関係を維持しているが、アラビア縦断送油ライン構想は、多国間にまたがる大型プロジェクトであり、その実現を図る場合においては、各国間において相当の調整を必要とするものと考えられる。

五について

 アラビア縦断送油ライン構想の実現を図る場合においては、送油ラインの敷設等において、多くの技術上の問題があることが予想されるが、具体的には、民間企業における詳細な検討を待たなければならない。

六、八及び九について

 アラビア縦断送油ライン構想について、現在政府として検討を行つている段階ではなく、送油ラインの建設資金、建設所要年数及び送油日量については、何も申し上げられる状況ではない。

七について

 アラビア縦断送油ライン構想について、現在政府として検討を行つている段階ではなく、また、サウディ・アラビアのファハド皇太子の訪日時期は未定であるが、仮に訪日が実現した場合においても、当方から素案を提示することは考えていない。

十について

 アラビア縦断送油ライン構想について、パイプラインの防衛問題が政府部内で検討されたという事実はなく、したがつて、政府がパイプライン防衛のため米国と協議したという事実もない。
 いずれにせよ、パイプラインの防衛の問題は、湾岸諸国自身が決定すべき事柄であり、これら諸国の意向が明らかでない段階で、日本国政府としてうんぬんすべき問題とは考えていない。