質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

自閉症児の対策と療育に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十一月二十八日

藤原 房雄   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   自閉症児の対策と療育に関する質問主意書

 国際障害者年に当たり、本年の障害者対策についてかなりの議論がなされたところである。しかしながら、未だ解決できず福祉の谷間にあり、施策の前進を待つ多くの家庭がある。
 精神障害者も、身体障害者、内部疾患者も障害という点では変わりなく、適切な療育と保護を受け社会復帰をめざすことは、当然の権利であり又行政の責任でもある。
 特に情緒障害児のうち、いわゆる自閉症児は、原因も治療法も不明のまま放置され、その解決には幾多の克服しなければならない困難な問題がある。
 そこで政府の自閉症に対する研究状況、施策のあり方について質問する。

一 自閉症は各専門機関により原因、治療方法等について研究されているが、未だ解明されていない状態である。しかしながら、この問題が提起されてすでに十数年を経過した。厚生省は「心身障害研究」の中で、自閉症の原因、治療法の問題並びに昭和五十三年度より自閉症の診断基準についても重要な課題として研究しているが、その研究状況及び成果について報告願いたいがどうか。

二 自閉症児の学校教育について、担当教員の苦労は筆舌に尽し難く大変な重労働である。教員一人に対し自閉症児五~六人が限界といわれている。従つて自閉症児に対しては養護教育の定数の枠を越えて対処すべきと考えるがどうか。

三 自閉症児の療育施設については、昭和五十五年度より予算化されているが、実績と今後の計画について報告をもとめる。
 また、成人した自閉症患者の対策が心配されているが、成人者に対する療育施設も早急に対応すべきと考えるがどうか。

四 小児精神科について、児童の診療は一般精神科医療の一隅にあり、専門家の個人的関心に基づく範囲で診療、研究されているのが実状である。
 そこで児童精神医療と一般精神科医療とは区別し、児童精神医療を専門的に研究できるよう措置すべきと考えるがどうか。

  右質問する。