質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

保険診療報酬改定におけるマッサージ師の処遇に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十一月二十八日

小平 芳平   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   保険診療報酬改定におけるマッサージ師の処遇に関する質問主意書

 従来、保険診療上のマッサージは業務制限があり、病院勤務の有資格者が主としてマッサージ業務に従事してきたのである。
 昭和五十六年六月一日に実施された改正理学療法点数では、従来あつたマッサージの項を削除し、マッサージを包括的に新規点数に含むとしたため、改定前は、医療機器使用とマッサージは別々に費用請求ができたが、改定後は、両方を使つて患者に治療をほどこしても、医療機器使用のみが診療報酬の対照とされることになつたのである。
 このため、医師、看護婦の指導のもとに、無資格者であつても治療ができるようになるとともに、マッサージの施術を省くこともできるため、従来の有資格者の病院内における地位及び身分保障に重大な影響をもたらし、生活権が脅かされることが懸念されるのである。
 現在、病院勤務のマッサージ師は、視覚障害者並びに下肢障害者の方達が多く、約六千人余の人達が従事しているのである。
 今年は、特に国際障害者年にあたり、これらの障害者の方達の施策を拡充強化せねばならない時に、それに逆行したマッサージ師の職域を脅かす保険診療報酬改定は疑念なしとはしないのである。
 そこで、次の点について質問する。

一 改定にあたり、何故に診療報酬項目からマッサージを削除したのか、その理由を伺いたい。あわせて復活すべきと思うが、その意志はあるのか。
 削除することによつて、おこるであろう職域の問題並びにこれから新卒者の就労問題の対応等について、十分研究し措置された上で、削除に踏み切つたのか。
 また、新卒者の進路方針や、増大するマッサージ師の就労対策について今後どのように考えているのか。

二 今回の改正によつて、リハビリテーションを実施している病院を施設認定病院とし、未認定病院との間にマッサージ等の診療報酬点数に著しい格差が設けられたのである。
 すなわち、施設認定病院では複雑なもの三百点、簡単なもの百二十点、未認定病院では複雑なもの九十点、簡単なもの五十点と格差をつけたことである。この根拠は何か。

三 従来、マッサージは一カ所十二点、人間の体を五カ所に分けて点数請求ができたので、最高六十点は請求でき、さらに、変形従手矯正術等を加えると百二十点から百三十点、患者の病態次第では二百点まで加算することができることとなつていたのである。
 しかしながら、今回の改正で、一般開業医等のリハビリテーションの未認定病院では複雑なもの九十点、簡単なもの五十点と上限を決めてしまつた。しかも、従来あつた治療の併用算定をも削除したので、病院経営にとつて、マッサージ師の存在がかえつて負担となる病院もでてきて、解雇せざるを得ない状態になる可能性が考えられる。まさに、マッサージ師の生活権の破滅にもつながりかねない問題をはらんでいる。
 これらの現実に政府はどう対処するのか、見解と具体的な対応措置について承りたい。

  右質問する。