質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

ダンプカーの運行に伴う沿道粉じん対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十一月二十八日

鶴岡 洋   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   ダンプカーの運行に伴う沿道粉じん対策に関する質問主意書

 ダンプカーの土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止については、昭和三十六年、政府の「交通事故防止対策」が決定され、以来数次にわたり各種の施策が関係省庁・地方自治体等により進められている。
 しかしながら、昭和五十五年における積載重量、制限速度及び積載物転落防止措置義務等の違反件数は、前年に比較して五・六パーセント増加している。また、沿道地域における騒音、振動及び排気ガスのほか、一部地域における土砂粉じん公害が深刻な問題となつている。この現状から、とくに千葉県君津市小糸、小櫃地区等におけるダンプカーの運行に伴う沿道粉じん公害を中心に、以下の諸点について質問する。

一 粉じん公害の現状について、

 千葉県君津市は、小糸、清和、小櫃、君津郡吉野田地区に山砂採取場があり、山砂等の運搬のため一日平均往復で小糸方面四千台、小櫃方面二千台の合計六千台のダンプカーが通行している。
 すでに山砂採取業者と地域住民の間では公害防止協定が締結され、千葉県は本年七月、ダンプカー通行沿道に粉じん測定器を設置し、環境調査を実施している。
 しかし、地域住民の健康診断の結果、呼吸器障害が大量に発見され、なかにはじん肺症も含まれているとの報告を受けているが、このような状況を政府として把握しているか。

二 沿道粉じん公害対策について

(1) 専門家による沿道周辺の住民の一斉健康診断を行い公害被害の実態を確認することは、四日市ぜんそくの経験からみても重要であると考えられるがどうか。
(2) 前項の結果、ダンプカーの山砂運搬による健康被害が明らかにされた場合、現行の公害健康被害補償法(昭和四十八年法律第百十一号)による、いわゆる非特異的疾患として取り扱うことについてどう考えるか。
(3) 健康診断の結果、じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)によるじん肺と比較衡量し、医学的に因果関係等が立証された場合、補償問題を含めて、どのような措置をとることになるのか。
(4) 健康被害が発生していることが明らかな場合、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)とその他、関連法規を改正する必要があると思うがどうか。

三 今後の防止対策について

(1) ダンプカーの通行量に対応した沿道周辺の住民の一斉健康診断を適切に実施できるよう、所要の措置を講ずることが必要と思われるが、どうか。
(2) 前記地域における事例からみて、都道府県知事は、山砂等の採取許可に関しては、市町村長等関係者と十分に意思の疎通を図ることとし、山砂採取、運搬に伴う粉じん公害防止対策を含めた総合施策を講ずることが緊要であると思うがどのように考えるか。
(3) 山砂等の運搬車両については、容器の開発等を含めて車両構造を改善することが考えられるがどうか。

  右質問する。