質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一号

航空法等の運用の実態に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十一月二十七日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   航空法等の運用の実態に関する質問主意書

 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)は、公団法第二十一条の規定による基本計画を運輸大臣より指示された昭和四十一年十二月十二日以降、公団法及び航空法の定める手続きに従い成田空港建設を進めてきたはずである。
 そこで、現在に至る公団法及び航空法の手続きにつき、以下、両法を所管する運輸大臣の御見解を承りたい。

一 公団法第二十一条の規定による基本計画の指示について

(1) 昭和四十一年十二月十二日に指示された基本計画が、同条の規定により、その後変更されていれば、変更の内容及び変更を指示した年月日を明らかにされたい。
(2) 基本計画で定めるべき事項を規定した公団法施行令第三条第四号は、工事完成予定期限を挙げている。

(イ) 工事完成予定期限を基本計画で定めるべき事項の一つとした理由は何か。
(ロ) 基本計画で定められた工事完成予定期限と航空法第五十五条の三第一項の規定による工事実施計画認可申請に係る工事完成予定期日とに、どの程度のずれがある場合、基本計画を変更することになるのか。十年ではどうか。また、その場合、当該工事実施計画認可申請は、不認可(却下)とならないのであれば、その理由は何か。

(3) そもそも、基本計画で定める事項の決定について、これを公団の裁量とはせず、運輸大臣の指示によるとした公団法第二十一条の立法の趣旨は何か。

二 公団法第二十四条の規定による業務方法書の認可について

(1) 業務方法書の作成及び認可申請は、公団法第二十一条の規定による基本計画の指示以前に本来行われるべきものなのか、理由を付して説明されたい。
(2) あるいは、航空法第五十五条の三第一項の規定による工事実施計画認可申請以前に本来行われるべきものなのか、理由を付して説明されたい。
(3) 右工事実施計画作成は、基本計画と業務方法書に基づいて本来行われるべきものではないのか、理由を付して説明されたい。とりわけ、工事実施計画と業務方法書との内容上の具体的な関係を明らかにされたい。
(4) 公団法第二十条第一項各号に規定する業務が、現実に開始された年月日を各号毎に業務開始に係る具体的な事実を明らかにされたい。
(5) そもそも、公団の業務開始の際、業務方法書の作成及び認可の手続きを法定した公団法第二十四条の立法の趣旨は何か。
(6) 公団法第二十四条第一項後段の規定によりその後、業務方法書の変更認可が行われたことがあれば、そのすべてにつき、変更認可申請及び同認可の各年月日並びに公団法施行規則第二条第二項に規定する変更の理由及び内容(概略)を明らかにされたい。

三 公団法第五条第二項及び同第三項の規定する政府による公団資本金の追加並びに同法第二十九条の規定する公団の長期借入金及び新東京国際空港債券(以下「長期負債」という。)との関連において、昭和四十一事業年度から昭和五十六事業年度に至る公団の投下資金、政府による公団資本金の追加(政府出資金)、長期負債の発生額、償還金、支払利息(債券発行差金及び債券取扱経費を含む。)及び欠損金につき、各事業年度毎の総額(但し、昭和五十六事業年度は予定額)、また、昭和四十一事業年度から昭和五十五事業年度に至る公団の累積投下資金、公団資本金、長期負債に係る債務残高、累積償還金、累積支払利息(債券発行差金及び債券取扱経費を含む。)及び累積欠損金につき、各事業年度末の総額、以上をふまえて答えられたい。

(1) 公団資本金の適正額はどれ程か、根拠を示して具体的に説明されたい。
(2) 公団法第五条第二項及び同第三項の規定による政府出資金の必要性の要件(基準)を具体的に示されたい。
(3) 昭和四十一事業年度から昭和五十五事業年度に至る各事業年度の政府出資金は、いかなる事情により出資額が定められたのか、各事業年度毎に具体的に説明されたい。
(4) 各事業年度の欠損金に相当する額を、翌事業年度の政府出資金の額としてはいけない理由があれば、そのすべてを具体的に説明されたい。
(5) 政府から公団への投資を、補助金(助成金)という形ではなく、政府出資金とした公団法第五条第二項の立法の趣旨は何か。
(6) それならば、たとえば毎年数千億円にのぼる国鉄への助成金は、いかなる理由により、国鉄の資本金追加として計上されないのか。
(7) 公団法第二十九条に規定する長期負債の限界は、どのようにして規定されているのか、根拠を付して具体的に説明されたい。
(8) 長期負債に係る債務残高と資本金との間に何か関係でも設けているのであれば、根拠を付して具体的に説明されたい。

四 航空法第五十五条の三第一項に規定する工事実施計画認可及び同変更認可について

(1) 新東京国際空港、航空保安無線施設及び航空燈火に係る各工事実施計画認可及び同変更認可の経緯については、そのうち昭和五十一年十一月二十五日認可に係るものに至る経緯につき、内閣答弁書(内閣衆質八〇第一号の三及び同第六号の三)に示されている。そこで、同認可以降、現在に至るまでの右手続きに関し、右内閣答弁書の例にならい明らかにされたい。
(2) 内閣答弁書(内閣衆質八〇第六号の三)によれば、昭和五十一年十一月二十五日変更認可に係る工事実施計画では、工事完成予定期日について、新東京国際空港につきA(1)、A(2)及びBと、航空保安無線施設につきA(1)、A(2)及びBと、また航空燈火につきA(1)、A(2)、A(3)及びBとに分けている。各々について、A(1)、A(2)及びA(3)の別の工事内容(概略)及びそのように分けた理由を説明されたい。
(3) 新東京国際空港に係る工事実施計画認可申請については、航空法施行規則第七十六条の二で準用される同第七十七条の規定により、実測図には飛行場の施設の位置もまた明示することになつている。

(イ) 昭和四十二年一月二十三日に認可された新東京国際空港工事実施計画に添付された実測図には、工事完成予定期日を昭和四十六年三月三十一日とするものとそれ以外のものとの間の境界は明示されていたか。
(ロ) 右において明示されていないのであれば、いつの工事実施計画の変更認可で明示されたのか、当該認可の年月日を明らかにされたい。
(ハ) 右において、明示された境界が、その後変更されていれば、変更に係る当該変更認可の年月日を明らかにされたい。
(ニ) そもそも、工事完成予定期日を昭和四十六年三月三十一日とするものとそれ以外のものとの間の境界を明示することは、工事実施計画認可または変更認可の対象ではないのか。とすれば、その理由は何か。

  右質問する。