質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇号

政府関係機関の予算・決算制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十一月十四日

峯山 昭範   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   政府関係機関の予算・決算制度に関する質問主意書

 政府関係機関の予算・決算制度は、官庁的なものと民間企業的なものが結合して成り立つているため、種々の問題点が存在していることは、かねてより指摘されているところである。よつて次の各項について政府の見解をただしておきたい。

一 予算会計制度の改善について

 かつて第一次臨時行政調査会が、政府関係機関の予算会計制度について、「予算については、国の会計と同様に収入支出についての拘束予算(収入支出予算)の形式がとられているが、この予算形式は、事業体としての経営成果の判定に役立つ予算形式とはいい難い。」と指摘し、これらについては、企業性を発揮させる体制とすることが必要であり、そのため収入支出予算の形式を改めて、適当とみられる事業計画等による企業的な予算制度を採用すべきであるなどの勧告を行つているが、現行の予算及びそれに対応した決算の形式は、依然として改善されておらず、官庁会計を主とし企業会計を併用した方式をとつているため、会計処理が必要以上に複雑化し、極めて判別し難いものとなつていると言わざるをえない。よつて次の点について伺いたい。

(1) 政府関係機関の予算・決算制度において、現行のような収入支出予算・決算方式を併用する理由は何か。
(2) 収入支出予算・決算方式の併用を改め、企業会計的な予算・決算制度を採用することのメリット、デメリットをどのように考えるか。

二 損益計算書の改善について

 去る九月十七日、参議院決算委員会における日本国有鉄道の決算審査の際、日本国有鉄道予算参照書中の一般勘定損益計算書と、それに対応する年度決算の一般勘定損益計算書との科目区分に、著しい不一致があり、判別しにくい点のあることを指摘したところ、日本国有鉄道当局は検討する旨答弁した。
 その後の調査によつて、他の政府関係機関においても同様の事務処理が行われていることが確認されたので、次の点について伺いたい。

(1) 日本国有鉄道の予算参照書及び決算書における一般勘定損益計算書の科目区分の不一致が生じている理由について、予算参照書の場合は大蔵省が様式を決め、決算書の場合については、日本国有鉄道自身がその様式を決めることができる制度に由来することが明らかにされたが、その経緯に誤りはないか。また、他の政府関係機関において見受けられる事態についても、同様の事情と解してよいか。
(2) 政府関係機関の予算・決算を通じて、その運営の実態を的確に把握するためには、これら各機関の損益が明確に表示され、これが国民の評価の参考となるものでなければならないことは言うまでもない。しかしながら、現行の各機関の損益計算書は、予算と決算で科目区分を異にしているため極めて判読しにくく、国会における審査に際し、その脈絡をたどることが困難であるので、この際国民の理解を容易にするような様式に改めるための検討を加えるべきではないか。

  右質問する。