質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九号

本土・沖繩間並びに県内離島航空運賃の負担軽減に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十月三十一日

二宮 文造   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   本土・沖繩間並びに県内離島航空運賃の負担軽減に関する質問主意書

 航空燃料の価格高騰、着陸料等公租公課の負担増加等を理由に、去る十月十六日、国内航空四社は、平均十九・五パーセントの航空運賃値上げを運輸大臣に申請した。これに対し、政府は年内に審査を完了し、年明け早々にも認可する方針であると報じられている。
 沖繩県は、本土から遠く隔絶された離島県であり、本土との交通は専ら空路に依らざるを得ず、入域者の九十二・二パーセントが空路を利用しており、本土・沖繩間の航空路は沖繩県民の生活、経済路線として不可欠なものとなつている。
 また、沖繩県内離島航空路についても、住民の空路利用率は八十六・七パーセントとなつており、県民の足として定着している。
 このような状況のもとで、大幅な航空運賃の値上げが認められることになれば、県民生活に与える影響は甚大である。県の試算によれば、十五パーセントの値上げでも、県民の負担増は年間二十五億円にのぼり、観光客などへの影響を含めると、沖繩経済に与える影響は更に拡大し、県民の生活安定と福祉の向上に重大な支障を与えることは明白である。
 そこで、次の諸点について政府の明確な見解を承りたい。

一 これまで本土・沖繩間並びに県内離島航空運賃について、沖繩県の地理的、経済的な特殊事情を考慮して、各種の負担軽減措置が講じられてきたが、今回の航空運賃値上げ申請を審査するにあたつて、沖繩県の特殊事情についてどのような配慮を行い、また、具体的にどのような措置を講じる予定か。

二 観光立県をめざし、年間の観光客が百八十万人にものぼつている沖繩経済に与える航空運賃値上げの影響は深刻である。現行でも国際運賃に比べて割高になつている沖繩線の国内運賃が、値上げ申請どおりに実施されれば、競合関係にある香港、台湾等に観光客を奪われる可能性が強く、沖繩経済の混乱は必至であるが、現在、沖繩線に認められている包括団体割引運賃の割引率を東南アジア向け国際線並みに引き上げる用意はないか。

三 県内の離島航空路は、住民の日常生活と経済活動に必要不可欠のものとなつており、航空運賃の値上げは、直ちに所得の低い離島住民の家計を圧迫することになる。特に今回の値上げ申請では路線別原価主義を打ち出しており、短距離の離島路線は大幅な値上げ率となつているが、値上げの影響を緩和するため、現在、沖繩県内の一部の路線にのみ認められている特別往復割引運賃(島民割引)の適用範囲を拡大し、県民が広くこの制度を利用できるようにすべきではないか。

四 最近、野菜、花き類の本土向け航空貨物による輸送が増加しており、沖繩農業の振興に寄与しているが、航空運賃値上げによる影響が心配されている。今回の航空運賃値上げ申請を審査するにあたつて、沖繩線につき、これ等貨物の特別割引制度を導入する用意があるか。

五 現在、沖繩県民生活のうえに重大な影響を与え、また、沖繩の振興開発に極めて深い係わりをもつ航空運賃関係について、沖繩振興開発特別措置法が何等規定していないのは片手落ちである。同特別措置法の期限延長にあたつて、航空運賃に関する特別措置を追加規定すべきではないか。

六 航空機利用者に課せられる通行税や着陸料等の公租公課が、航空各社の経費の三十五パーセントを占め、今回の航空運賃値上げ申請の要因になつているが、本土では国鉄のグリーン車利用の場合にのみ課税されている通行税が、代替輸送機関がなく、県民の生活路線となつている沖繩の航空路線に課せられていることは不当である。航空機利用者に対する通行税を廃止し、負担軽減を図るべきではないか。

  右質問する。