質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

核燃料再処理工場建設用地に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十月十六日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   核燃料再処理工場建設用地に関する質問主意書

 わが国における核燃料再処理工場建設問題については、核燃料の再処理が法律上、民間にも認められるようになり、「日本原燃サービス株式会社(後藤清社長)」という会社が設立されて以来、政府・通商産業省は、この日本原燃サービス株式会社と一体になつて、東海再処理工場につぐ第二再処理工場の建設をナショナルプロジェクトとして強力に推進する方針を固めているように見受けられる。
 この第二再処理工場の建設問題については、今年の初め、沖繩県の西表島が建設候補地として最有力であるとの情報が流れ、沖繩県民に大きな衝撃と不安を与えた。そのため、私は第九十四回国会の予算委員会(昭和五十六年三月十六日)の総括質疑の中でも、この問題にふれた。その時、政府見解として、「いま沖繩で特に立地場所を探すというようなことは考えておりません。日本全国で的確なる土地を現在探すということで調査を進めておる段階でございます。」という答弁を得ておる。また、建設地の適地性についても、「適地性と申しますのは、自然立地条件もございますけれども、そのほかに社会的な適性の問題もあろうかと思います。したがいまして、私どもはその双方の観点から適地を探しておるわけでございますので、沖繩におきまして、いろいろと反対の御意見があることも十分承知いたしておりますから、そういうことも頭に入れまして、全国的に見てどこが適地性があるのかということを判断してみたい。」という答弁も得た。さらに、私が「沖繩に持つていくということはまだ全然白紙であると、こう受けとめていいんですね。」と念を押すと、「御指摘のとおりでございまして、全く白紙の状態で私どもは調査を進めておるわけでございます。」という答弁をも得ておる。
 ところが、それから半年経過した今日、わが国の原子力政策(核エネルギー政策)をめぐる客観状勢は、急速な変化を見せはじめておる。その最たるものに、米国政府の原発政策の大幅な修正がある。
 これは、十月八日、レーガン米大統領が発表した原子力発電を推進するため、建設・操業許可の緩和、使用済み核燃料の再処理禁止の撤廃、高速増殖炉の建設推進等五項目の総合政策であるが、これは、これまで「原発」に慎重な態度を取り続けてきたカーター前政権の政策を大幅に修正するものである。
 この米国政府の政策転換が発表されるや、わが国のマスコミは「通商産業省・資源エネルギー庁は、九日、米政府がカーター時代の原子力政策を転換して原子力開発と再処理の促進を鮮明に打ち出したことは、わが国の原子力政策と同一路線を歩むことになり、今後、協調できると高く評価している。」と報じている。
 このような報道に接する時、再び沖繩県民は核燃料再処理工場の建設候補地に西表島があるのではないかという不安にかられる。とりわけ、東海再処理工場につづく第二工場は、年間処理能力が東海の約十倍の千二百トンといわれ、昭和五十七年までに用地選定を行い、昭和六十五年に完成させたいとしており、「日本原燃サービス株式会社」では、全国六十カ所の候補地から、北海道の利尻島、鹿児島県の徳之島、沖繩県の西表島等の数カ所に絞つたともいわれ、中でも政府が将来、東南アジアに原発開発を計画するのではないかとの考えから、地理的に近い西表島が第二再処理工場用地として最有力と見られているとの情報が伝えられるや、沖繩県民の不安はさらに高まるばかりである。
 そこで私は、この時点において、あらためて、以下の点に関し、政府の見解を承りたい。

一 核燃料再処理第二工場の立地場所選定に関する調査の進捗状況はどうなつているか。

二 核燃料再処理工場の適地性について、「自然立地条件」とは具体的にいかなる条件か。

三 同じく、適地性についての「社会的条件」とはいかなる条件であるか。

四 用地選定の調査から決定に至るまでの過程に地元住民はどのように関与できるか。

五 沖繩県の西表島に関し、第二再処理工場問題と関連して、去る三月十六日の予算委員会の時点と現時点において、政府見解に変更があるかどうか。あるとすれば、それはいかなる理由によるものか。

  右質問する。