質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

極東ソ連軍兵力の見積もりをめぐる日米間の重大なくい違いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十月十三日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   極東ソ連軍兵力の見積もりをめぐる日米間の重大なくい違いに関する質問主意書

 米国のワインバーガー国防長官が去る九月末公表した「ソ連の軍事力」による極東正面のソ連軍兵力と、わが国の防衛白書が確信ありげに記述した兵力見積もりは、大きくくい違つており、特にそれは陸上兵力と海上兵力の部門で著しい。何故このような事態になつたのかについて、政府側の見解をただしておきたい。

一 このくい違いが何故招来されたのかについての防衛庁の検討作業で、結果は明らかになつたのか。

二 陸上兵力について、米国側はカテゴリー3の師団をオミットしていたのか。

三 防衛白書がいう「極東のソ連陸上兵力は五十一個師団」の根拠は何か。

四 五十一個師団の配備(各軍管区ごとの)は把握しているのか。

五 米国防総省と防衛庁側のいう「極東」のとらえ方は、広範に過ぎるのではないのか、また、妥当な範囲としては、極東軍管区と隣接のザバイカル軍管区をあわせたものではないのか。

六 右の両軍管区の配備師団数なら三十一個師団、兵員およそ二十一万人ではないのか。

七 防衛白書はソ連太平洋艦隊の艦艇数を八百隻、米国側は七百二十隻、ミリタリー・バランスは五百二十七隻となつているが、防衛庁の積算には沿岸・河川・港湾用の小型艦艇や雑船、輸送船、砕氷船、補給艦、救難船、測量船などをすべて含んでいるのではないのか。

八 妥当な範囲としては、真に戦闘用艦艇といえる潜水艦百五隻、巡洋艦、駆逐艦、フリゲート艦などの水上艦艇七十二隻、二千五百トン以上の揚陸艦十一隻の計百八十八隻ではないのか。

九 極東の航空兵力について、防衛白書はおよそ二千二百十機と記しているが、航空兵力についても米国側報告とくい違つているのではないのか。

十 また、防衛白書がとらえている「戦闘機約千六百機」の中には国土防空軍の機数も含まれているのか。

十一 国土防空軍の所属機は、純粋の防空用要撃機であり対地・対艦攻撃力は持つていない。従つてわが国への直接の脅威として包含すべきは、空軍と海軍の爆撃機四百機、前線航空部隊の戦闘機、攻撃機等およそ八百五十機の計千二百五十機程度が妥当な範囲と実数ではないのか。

  右質問する。