質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

アラビア縦断送油ライン建設構想に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年十月九日

秦 豊   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   アラビア縦断送油ライン建設構想に関する質問主意書

 アラビア半島を南北に縦断する原油パイプラインの建設問題は、単にわが国への原油供給ルートの複数化という域に止まらず、広範な安全保障対策の重要な一環ともとらえるべきナショナルプロジェクトであろう。その実現を期待する観点から政府側の方針を伺いたい。

一 推進母体たる「湾岸パイプライン開発協議会」(仮称)が設置される予定と聞いているが、どうなつているのか。また、設置されているならその検討作業はどの程度まで進んでいるのか。

二 サウジアラビア側からは当初伝えられた非公式な条件(ルート、通過権、所有権、原油価格等)以外の新たな打診は行われていないのか。

三 パイプラインに関連するアラブ首長国連邦やオマーンとサウジアラビア側の調整に問題はないのか。

四 原油価格が起点と終点で同じとする例はかつて聞かないが、それはサウジアラビア側の真意として受けとめて良いのか。

五 敷設技術については、欧米の鉄鋼メーカー等に協力を求める必要があるとされているが、アプローチはなされたのか。また、協力を求めるとすればどのような企業体が考えられているのか。

六 仮に建設資金を四十億ドル前後として、官民の資金分担はどのように考えているのか。

七 今秋来日が予定されているサウジアラビアのファハド皇太子の滞日中には、日本側の一応の成案を提示できるのか。

八 パイプラインの総延長はおよそ千五百キロとみられるが、その建設所要年数はどれくらいと考えるのか。

九 完成されれば送油日量はどの程度と見込まれるのか。

十 完成後のパイプライン防衛のため、政府はアメリカ側と協議する方針と伝えられるが、既にそれは行われているのか。具体的にはどのような対応があり得るのか。

  右質問する。