質問主意書

第95回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

下水道における下水の排除方式と環境保護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年九月二十八日

小平 芳平   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   下水道における下水の排除方式と環境保護に関する質問主意書

 下水道事業は、わが国の公共投資の中でも最も立ち遅れている分野であり、今後、集中的な投資が行われ、その整備が一層促進されなければならないものと考える。
 同時に、下水道の役割も局地的な生活環境の整備から公共用水域の水質保全などの環境保護へ、さらには、水循環サイクルの構成要素としての観点から水資源確保の一翼を担うなど、質的に大きく変革しつつある。
 こういう際に、従来の下水道事業の下水の排除方式に一層の検討を加え、その改善を図つていくべきものと考える。そういう観点から以下質問する。

一 下水の排除方式には、汚水及び雨水をそれぞれ別の管渠で排除する分流式と汚水及び雨水を同一の管渠で排除する合流式とがある。

(1) わが国のこれまでの下水道事業は、主として浸水対策を中心に実施されてきたことから合流式で計画されているところが多い。しかし、水質汚濁防止上の観点からは、分流式がより望ましいと考えるが、どのような指導を現在行つているか。
(2) 排除方式別の処理場数の現状はどうなつているか。

二 合流式下水道の最大の欠点は、汚水が汚濁度の高い初期雨水と混つて河海へ放流されている点にある。本来処理されるべきはずの汚水が、雨天時に限つて放流されている合流式の欠陥はどのように改善されているか。

三 合流管の能力が汚水量の増加に対処しきれないため、晴天時でも雨水吐室から汚水が堰を越えて河川へ流出する事例もある。この対策としては、どのような措置を実施しているか。

四 下水は管渠の中を自然流下で流れて行くのが普通である。しかし、排水区域内の土地に適当な勾配がない平担な地域では、下水管渠は末端に行くに従つて次第に深くならざるを得ない。
 自然流下で雨水を河川等に放流することが不可能な地域も出てくる。このような時、管渠の途中にポンプ場を設け、流下によつて失われた水位を回復したり、雨水を最寄りの河海に放流したりすることが必要となり、そのためにポンプ場が設けられている。
 その場合にも二及び三の場合と同様な問題が起っているが、それらに対する対応措置はどうなつているか。

五 現行法では、公共下水道から河川その他の公共の水域に放流される水質は、どのような基準の規制を受けているか。その法的根拠、また、違反に対する罰則はどうなつているか。
 さらに、その水質の検査体制はどうなつているか。

六 具体的な例であるが、東京都羽田ポンプ所から海老取川に放流する汚水の水質基準の検査体制、その試験成績、汚濁度の高い生下水が放流され、周辺住民の生活環境を著しく損ねている実態を把握しているか。また、どのように対処する考えであるか。

七 下水道法において設置が義務づけられている重金属排除のための「除害施設」の都道府県別の整備状況はどうなつているか。また、特定施設からの下水道への下水の排除について、排水基準に適合するか否かの監視や検査は現在どのような体制、方法で行つているか。

  右質問する。