質問主意書

第94回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質九四第二三号

  昭和五十六年六月二十六日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員黒柳明君提出核兵器の持ち込みの疑惑に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員黒柳明君提出核兵器の持ち込みの疑惑に関する質問に対する答弁書

一について

 去る六月一日の参議院外務委員会、内閣委員会、安全保障特別委員会連合審査会において、政府が米軍の施設・区域の視察を検討する旨述べたのは、米側の同意を前提としたものである。
 外国軍隊の駐留を認めている場合、受入国としては、派遣国又は当該軍隊の同意がある場合は別として、立入検査を行うことができないのは一般国際法上の原則である。在日米軍についても、地位協定第三条に明規されているとおり、米国は施設・区域につき警護・管理などのため必要なすべての措置を執ることができるものとされており、一般的に立入りの許可を含めて施設・区域の管理を行う権限を有することが明らかにされている。政府が去る六月三日の衆議院外務委員会において「立入検査はできない」と述べたのは、かかる意味においてである。
 メースB基地については、施政権返還前の沖繩において、メースB基地の存在が事実として確認されていたため、施政権の返還に際し、政府職員が、米側の同意を得た上で念のためその撤去の確認を行つたものである。

二について

 政府は、非核三原則を国是として堅持するとの方針を今後とも貫く所存である。

三について

 岩国沖に停泊していたLSTに核兵器が積載されていたとの発言は、伝聞、記憶に基づくものであると承知しており、このような発言について政府として調査することは考えていない。

四について

 米軍は、その艦船の一々の行動については明らかにしないことを原則としており、政府としては、御指摘の件につき調査する考えはない。