質問主意書

第94回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質九四第一五号

  昭和五十六年五月二十九日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出防衛関係費の国際的共通性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出防衛関係費の国際的共通性に関する質問に対する答弁書

一について

 一般的に防衛費あるいは国防費(以下「防衛費等」という。)という場合、各国の歴史、制度等の諸事情により、その範囲、経費項目の在り方等は多様であり、国際的にはいうまでもなく日米間においても一致しておらず、それらの詳細についても明らかでない面が多い。したがつて、国情の異なる日米両国間の防衛費等を共通させる厳密な基準を設定することは困難である。
 米国においては、予算書等によれば、Military Personnel(軍人)、Retired Military Personnel(退役軍人)、Operation and maintenance(運営・維持)、Procurement(調達)、Research and development(研究・開発)、Military Construction(軍事建設)等からなる Department of Defense-Military(国防省-軍事部門)をもつて狭義の国防費とし、これに Atomic energy defense activities(原子力エネルギー国防関係)、Defense related activities(国防関連活動)を加えたものをもつて広義の国防費としている。

二について

 NATO定義による国防費に軍人恩給等が含まれるともいわれているが、その内容は「NATO秘」とされており、詳細は明らかではない。
 なお、諸外国の軍人恩給等の取り扱いについては、必ずしも明らかではない。

三について

 西側主要国のうち米国等は沿岸警備隊関係の費用を防衛費等に含めておらず、沿岸警備隊関係費用を防衛費等に含める国が一般的であるとは必ずしもいえない。

四について

 前述のとおり、諸外国においても軍人恩給等及び沿岸警備隊関係の経費を防衛費等に含めることが一般的であるとは必ずしもいえず、また軍人恩給等及び沿岸警備隊関係の経費の内容の詳細も明らかではないので、これらの経費を含めたものを基準として各国の防衛費等を比較することは困難である。

五について

 「防衛関係費」は、国防に必要な防衛力整備のための経費であり、自衛隊発足以来その内容は基本的に変わらず、定着している。
 旧軍人遺族等恩給費については、自衛隊が旧軍隊との連続性を有していないこと等から、これを「防衛関係費」に加えることは適当ではないと考える。