質問主意書

第94回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質九四第一四号

  昭和五十六年五月二十九日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出政府の安全保障政策、特に経費分担に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出政府の安全保障政策、特に経費分担に関する質問に対する答弁書

一について

 御質問のような構想は、具体化するような気配もなく、また、このような構想に関連して我が国に対し費用分担が要請されているわけでもない。
 ただ、全く仮定の問題として、我が国が御質問のような構想に関連して費用を支出することと、我が国の憲法解釈上認められない集団的自衛権の行使との関係について一般論を述べれば、集団的自衛権を含めおよそ自衛権とは、国家による実力の行使に係る概念であるので、我が国が単に費用を支出するということは、右にいう実力の行使には当たらず、我が国憲法解釈上認められない集団的自衛権の行使には当たらない。
 いずれにせよ、このような構想に関連した費用分担については、具体的な実体に即して判断すべき問題であり、このことについて何ら要請のない現段階において、検討することは適当でないと考える。

二について

 御指摘の構想は、本年二月、米国、英国、フランス及びドイツ連邦共和国の四か国の国際問題の研究所長が共著として発表した「西側の安全保障-評価と課題」と題する報告書にある「主要国アプローチ」の構想を指していると考えるが、このような構想について政府間で現実に検討が進められているというようなことは承知していないので、政府としては、この構想につき見解を述べることは適当ではないと考える。

三について

 御指摘の「共通防衛金構想」といわれるものが具体的な構想となつているとは承知していない。

四について

 御指摘の経費分担について、米国から何ら要請のない現段階で、仮定の問題をもとに見解を述べることは適当ではないと考える。

五について

 在日米軍経費について、米国から我が国に対し具体的な要請があるわけではなく、したがつて、具体的な要請内容を記した文書もない。