質問主意書

第94回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質九四第一二号

  昭和五十六年五月八日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 中曾根 康弘   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出政府の核政策、特に第三世界との協力協定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出政府の核政策、特に第三世界との協力協定に関する質問に対する答弁書

一について

1 インドネシアについては、同国のウラン資源開発調査の実施に関連し、昭和五十一年同国政府が、(イ)原子力平和利用協力協定案及び(ロ)南スマトラのウラン探鉱調査に関する協力協定案を提示し、我が国の検討を要請してきた経緯があるが、我が国としては、本件については(イ)のような包括的な原子力協力協定は必要ないとの観点から、(ロ)について検討に応ずることとし、現在、インドネシア政府と政府間取極締結のための交渉を行つている。
2 御指摘のその他の国々から、原子力協力協定締結の要望が我が国に対し行われたとの事実については承知していない。

二について

 フィリピンから、我が国に対して原子力協力協定締結の要望がなされたことはなく、締結交渉が行われているという事実もない。

三について

 我が国とフィリピンとの間で、原子力協力協定締結が話し合われたこともなく、したがつて、原子力協力協定素案なるものも全く用意されていない。

四について

 我が国とブラジル、アルゼンティン等との間で、原子力協力協定に関する話合いが行われているという事実はない。

五について

 通商産業省資源エネルギー庁において、昭和五十六年度から大型軽水炉を補完するものとして、地域の実情に応じきめ細かな対応ができるような中小型軽水炉の利用の可能性等を調査する計画である。今後の中小型軽水炉の利用については、本調査の成果も踏まえつつ慎重に検討していくこととしている。

六について

 通商産業省においては、大型軽水炉を中心とする従来の原子力開発の考え方を変更するものではなく、あくまでもそのような基本的路線を補完するものとして、中小型軽水炉の利用の可能性等を調査することとしており、今後の中小型軽水炉の利用については、本調査の成果も踏まえつつ慎重に検討していくこととしている。なお、核熱の利用についても、本調査をも含め引き続き検討していくこととしている。

七について

 中小型軽水炉の利用については、昭和五十六年度からその可能性等を調査する計画であり、今後、本調査の成果を踏まえつつ慎重に検討していくこととしているが、開発途上国における中小型軽水炉の適合性については、更に、開発途上国側の具体的必要性、受入れ体制等を十分検討する必要があるものと考える。

八について

 昭和五十六年四月現在利用し得る最新のデータによれば、我が国の核物質保有量は、次のとおりである。

図 表

九について

 昭和五十三年度以降における我が国のプルトニウム年間生成量は、次のとおりである。

図 表