質問主意書

第94回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質九四第九号

  昭和五十六年三月十七日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員藤原房雄君提出酪農経営の安定対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員藤原房雄君提出酪農経営の安定対策に関する質問に対する答弁書

一について

1 我が国の酪農は、経済の高度成長に伴う需要の増加に即応して、急速な規模拡大により生産の増大を図り、順調な発展を遂げてきたが、近年、生乳の供給過剰状況を生じ、生産を抑制せざるを得なくなつている。
 酪農経営については、生産資材価格の上昇等コストアップ要因がみられるものの、生産性は向上している。また、負債額は急速な規模拡大のため増加したが、反面、資産額も着実に増加している。
 生乳需要については、従来のような伸びを見込むことが困難であるとしても、将来とも安定した伸びが期待されるので、今後の酪農対策の基本は、需要に即した計画生産を進めるとともに、酪農経営の合理化及び体質強化に重点を置き、その安定的な発展を図ることにあると考えている。
2 酪農経営の実情については、地方公共団体及び関係団体とも協力し、そのは握に努めてまいりたい。

二について

1 酪農経営については、従来から、酪農経営安定推進資金、自作農維持資金等の長期低利の資金の融通により、その安定化に努めているところである。
 なお、既貸付金の償還条件の緩和措置については、関係金融機関に対し依頼したところであり、今後とも現行制度の下で、資金の種類及び借入者個々の実情に応じて対処してまいりたい。
2 酪農経営の改善を図るため、従来から長期低利の資金の融通に努めてきたところであり、今後とも必要に応じ、現行の制度資金の円滑な融通に努力してまいりたい。

三について

1及び2 昭和五十六年度の加工原料乳の保証価格については、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づき、生乳の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として畜産振興審議会の意見を聴いて昭和五十六年三月末日までに適正に決定することとしている。
3 昭和五十六年度の加工原料乳の限度数量については、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づき、生乳の生産事情、飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮し、畜産振興審議会の意見を聴いて昭和五十六年三月末までに適正に決定することとしている。

四について

1(一) 近年、生乳生産が需要の伸びを上回つて増大したことから大幅な供給過剰となり、生乳需給が緩和基調で推移していることにかんがみ、バター、脱脂粉乳等について畜産振興事業団による一元輸入を停止しているところである。また、いわゆる「擬装乳製品」と言われている調製食用脂の輸入問題については、我が国酪農が当面している諸困難を踏まえ適切な対応を図るべく、関係輸出国と鋭意協議を続けているところであり、できる限り早期に具体的な解決策を考えてまいりたい。
 (二) 畜産振興審議会に提出している「生乳需給見通し」は試算値であり、「生乳需給計画」は策定していない。「生乳需給見通し」においては、輸入自由化品目については、計画を立てて輸入するという性格のものではないこと、また、内外価格差の現状から輸入品が国産品により代替することが困難であること等から輸入の見通しは行つていないところである。

2 牛乳・乳製品の消費拡大を図るため、学校給食における牛乳の飲用促進、飲用牛乳の普及宣伝及び消費者啓発の推進等を行つているところであり、今後ともこれらの一層の促進に努めてまいりたい。

五について

1 国際価格の上昇に起因する飼料穀物等を原料とする配合飼料の価格の上昇に対しては、畜産経営に与える影響を緩和するため、配合飼料価格安定基金の財源確保に努めてきているところであり、今後とも、配合飼料価格安定制度の一層の適切な運用に努めてまいりたい。
2 牛肉については、畜産物の価格安定等に関する法律に基づき、価格の安定を図るとともに、その輸入については、国内生産で不足する分について行うという基本的方針の下に、関係諸外国との友好関係の維持増進に留意しつつ輸入割当制度の運用を行つており、かつ、畜産振興事業団が一元的な運営機能を有効に発揮することができるようにしている。また、子牛生産の振興を図るため、従来から各般の施策を講じているところであり、肥育素牛価格の安定対策としては、肉用子牛価格安定事業を実施しているところである。