質問主意書

第94回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

中小企業倒産防止対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年六月六日

佐藤 昭夫   
市川 正一   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   中小企業倒産防止対策に関する質問主意書

 工業出荷額の五十三パーセント、小売販売額の八十パーセントを占めるわが国の中小企業は、昨年度の倒産が一万八千二百件以上の戦後最高を記録したことでも明らかなように、いま戦後最悪の経営困難と倒産の危機に直面している。この中小企業の経営危機打開なしに、日本経済の本当のたて直しはできない。
 さて、中小企業倒産防止共済法に基づいて政府が全額出資する中小企業事業団によつて「中小企業倒産防止共済制度」が運営されている。同制度のスタート当初は伸び悩んでいたが、倒産件数の増勢につれて加入が増え、最近では大幅な加入増加を示している。
 同制度には、企業組合(中小企業等協同組合法に基づく組合)も利用できるようになつている。ところが、多数の事業者で構成されていても、企業組合の場合は、一企業としてしか扱われず、複数加入できないため、一事業所が共済金の貸付けを受けると権利が消滅し、他の事業所はその後、一切利用できないという問題が生じている。このため、異業種多数事業型のいわゆる総合企業組合では、加入の希望があつても利用できないのが実状である。事実、総合企業組合の多い京都府では、同制度が企業組合に、ほとんど利用されていない。
 京都府下の企業組合では、組合数で二十九パーセント、営業所数で八十六パーセントを総合企業組合が占めている(昭和五十三年十二月末現在、いずれも休眠組合を除く)。ちなみに、京都府下の企業組合でもつとも大きい(事業所数の多い)組合は、三百十一事業所をかかえているが、その業種は多様で、清水焼の製造業、問屋、畳屋、人形製造、建築業、木工製造などとなつている。二番目に大きい組合も、二百五十一事業所で多数の業種が参加しており、西陣織関係事業所が半分以上を占めている。他に友禅、建築、袋物などの業種が参加している。特に西陣関係では手形のサイトが百八十~二百十日と長く、共済制度を利用したいとの要望は切実である。
 総合企業組合は、京都のみならず、岐阜、愛知、大阪、福岡、東京等にもみられる。
 一般に、規模の過小性、技術の低さ、信用力の弱さなどによつて不利な立場に立たされている場合の多い中小企業が、相寄り、相集まつて組織化することによつて、自らを守り高めることを助けるのが国策である。しかるに、組織化すればするほど、中小企業を守る共済制度を利用できなくなるというのは全く矛盾である。
 中小企業倒産防止共済制度を利用したいとの希望が高まつている今日、現実に即した改善を行ない、企業組合でも利用できるようにすべきである。
 そこで、以下、質問する。

一 企業組合が中小企業倒産防止共済制度を利用しようとする場合は、事業所ごとに加入できるようにするか、事業所数に比例して加入口数を増加できるように改善すべきと思うがどうか。

二 すでに中小企業倒産防止共済制度に加入している業者が、新しく企業組合に加わる場合、従前の企業は解消した形になるため、共済は継続されなくなる。このため組合加入を躊躇する業者もでる。また、企業組合から脱退した業者が共済に加入しようとしても、「引き続き一年以上事業を行なつている者」との資格規定により、一年間は加入できないという不利な立場にたたされる。これらの不都合を救済する特例的な措置を講ずるべきと思うがどうか。

  右質問する。