質問主意書

第94回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

沖繩電力株式会社の民営移行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十六年五月二十五日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   沖繩電力株式会社の民営移行に関する質問主意書

 沖繩電力株式会社に関しては、昭和五十四年十二月の閣議で昭和五十六年末をめどに民営に移行することが決定され、現在その期日が刻一刻せまりつつある。
 しかし、沖繩電力株式会社は、昭和五十六年度の推定累積赤字が百九十億円に達する赤字会社、これに加えて沖繩電力株式会社が抱えている地理的、歴史的な構造的不利性等から、現在政府が推し進めている早期民営移行についてはとうてい県民の立場からは受け入れ難いことは、沖繩県当局を初めとする関係者のこれまでの陳情、要請等で御承知のとおりである。
 この件に関しては、政府は去る昭和五十五年一月三十一日の私の質問主意書に対する同年二月二十九日の答弁書において、「政府としては、同社を民営移行するに当たつては、離島を多く抱えている沖繩の実態に配意しつつ、諸般の措置を講じていく必要があると考えている。これらの具体的方策については、沖繩電気事業協議会における議論等を踏まえ、沖繩県民の意向を尊重しつつ、今後慎重に検討していくこととしている」という答弁がなされている。
 よつて以下に関し再度政府の見解を求めるものである。

一 沖繩県電気・エネルギー対策協議会が昭和五十六年四月十七日付で「沖繩電力株式会社の経営基盤については、(1)供給区域に採算ベースに乗らない多数の離島を抱えていること、(2)一〇〇パーセント石油電源に依存していること、(3)電力融通制度の枠外にあること、(4)電源の単基容量が小さいこと等、構造的に不利な経営基盤となつている。この経営基盤の構造的不利性が、九電力との格差拡大要因となつており、その抜本的解決策を講じることが本県における電気事業の最大の課題となつている」との中間報告を出している。この報告をも考慮に入れて、政府としては、この際、沖繩電力株式会社の民営移行に関して今一度、再考する用意があるかどうか、承りたい。

二 復帰十年目に入つた今日、沖繩振興開発計画との関連性においても、当面の電力対策としては、民営移行を繰り延べ現体制のもとでより徹底した条件整備を進めることが、最善の方策だと思われる。それ故、国家的な電力政策の立場からも、沖繩の基幹産業の方向づけの点からも、この件に関して政府の抜本的方策を期待するものであるが、政府の御見解を具体的に承りたい。

  右質問する。