質問主意書

第93回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質九三第六号

  昭和五十五年十二月十二日

内閣総理大臣 鈴木 善幸   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員二宮文造君提出沖繩県の電気事業のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員二宮文造君提出沖繩県の電気事業のあり方に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、従来から、離島が多いこと、電力需要が小さいこと等の沖繩県の電気事業の有する特殊性を考慮し、沖繩振興開発特別措置法第二十九条の規定をも踏まえ、沖繩振興開発金融公庫による長期低利融資等沖繩電力株式会社に対する助成措置を講じてきたが、引き続き所要の助成を図つてまいりたい。
 また、これに加えて、昨年十二月二十八日の昭和五十五年度以降の行政改革計画(その一)の実施についての閣議決定を踏まえ、離島を多く抱えている沖繩の実態に配意しつつ、諸般の措置を検討してまいりたい。
 更に、中・長期対策として、石油依存度の低減を図ることが肝要であり、かかる見地から、石油専焼火力発電設備として昭和五十九年に運転開始が予定されている石川三号機の建設を取りやめ、これに代わるものとして、石炭火力発電設備の建設を推進すること等についても検討を進めてまいりたい。

二について

 電気料金は、あくまでも原価主義の原則に立つて定めることとなつているので、政府としては、沖繩県における産業活動及び県民生活に十分配慮しつつ右の電力供給コスト低減のための諸措置の実現について最大限の努力を払うこととしている。

三について

 沖繩電力株式会社の本年二月及び十月の料金改定に当たつては、政府としては、従来同様、経営の徹底した合理化を前提とし、原価主義の原則に立つて厳正かつ慎重に審査した。政府としては、同社が経営の一層の合理化を図り、今後健全な事業運営を行つていくことを期待している。

四について

1 御指摘の沖繩県における値上げの影響額の主要業種別の試算は政府として特に行つていない。
2 政府は、従来から、生活関連物資及び国民経済上重要な物資について便乗値上げ等不当な価格形成が行われることのないよう、都道府県等とも緊密な連絡をとりつつ、地方支分部局、モニター等を活用して、需給・価格動向を厳重に調査監視してきているところである。電力料金値上げの物価への影響についても、便乗値上げが行われることのないよう、引き続き厳重に調査監視を行つていくこととしている。

五について

1 沖繩電力株式会社は、沖繩振興開発特別措置法に基づき設立されているが、同法は、昭和五十七年三月三十一日限り、その効力を失うこととなつている。政府としては、電気事業については、効率的かつ弾力的運営を図る見地から、民営により行うことが望ましいと考えているところである。このため、同社についても、昭和五十六年度末を目途に民営移行する旨昨年十二月二十八日に閣議決定した次第である。政府としては、この閣議決定にのつとり、沖繩県民の意向を十分尊重しながら所要の措置を講じて円滑な民営移行を図ることとしている。
2 政府としては、同社の民営移行に際し、累積赤字を残したままでは民間資本を誘引することは困難であり、また、特殊法人という性格下にあつても多額の累績赤字を放置することは事業運営に重大な支障を来すことになるので、累績赤字を是非とも解消する必要があり、そのための具体的方策を政府部内において現在検討しているところである。