質問主意書

第93回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

沖繩県の電気事業のあり方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年十一月八日

二宮 文造   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   沖繩県の電気事業のあり方に関する質問主意書

 沖繩電力株式会社は、本年二回にわたり電力料金の大幅値上げを行つた。このことは、復帰後本土との格差是正、経済的自立のため推進され軌道に乗りつつある沖繩振興開発計画を根底からゆさぶり、県経済に大きな打撃を与えている。しかも同社は、昭和五十六年度末を目途に民営移行を予定されている。
 このように不安定な沖繩県の電気事業に対し、県民は深く憂慮し重大な関心を持つている。
 よつて、今回の電気料金値上げ及び沖繩の電気事業のあり方について次の諸点を質問する。

一 沖繩県における電気事業は、一〇〇%石油依存のため原油価格の変動の影響を受けやすく、離島であるため供給予備率等において不利であり、また、資本的コストも高くつく等構造的不利性を内包している。このことは、復帰当時から自明のことであり、今回の料金値上げをもたらしたのは偏えに政府の責任と言つても過言ではない。政府は今後、この構造的不利性の改善にどのように対応してゆく所存か、当面の改善措置並びに中・長期対策を可能な限り具体的に示されたい。

二 沖繩県の立ち遅れた産業基盤を確立し、県経済の振興と県民生活の向上を図り、本土との格差を是正するためには、低廉な電力の供給が不可欠である。しかるに、沖繩の電気事業には前述したような構造的不利性が現存している。従つて、今後の料金値上げの査定では、原価主義を厳格に貫いて消費者の負担を増すのではなく、国が沖繩電力株式会社に財政的措置をとり、料金設定の水準を本土九電力の平均料金水準以下に抑えることが必要だと思うがどうか。

三 今回の値上げに際し、向こう一年間は値上げせず、その後も特段の事情変更のない限り料金値上げを行わないよう沖繩電力を指導する旨、政府部内において合意したやに聞いているが、原油価格の変動等により赤字を拡大してしまうのではないかとの危惧が拭えない。現行料金据え置きにより今後生ずる沖繩電力の赤字については、国においてその処理を図るべきであると考えるが、政府の考えを示されたい。

四 本年二月には四二・四〇%、十月には一九・一八%の計六一%もの大幅な電気料金の値上げのため、県の地場産業は、甚大な損失を蒙つたものと思われるが、これらの料金改定に伴う主要業種別の値上げの影響額の試算があれば示されたい。
 また、再度にわたる電力料金値上げに際して、便乗値上げがなかつたかどうか。あつた場合、どのように対処されたか示されたい。

五 政府は、効率的かつ弾力的事業運営を図ることを目的として、沖繩電力株式会社を昭和五十六年度末を目途に民営移行させる方針を閣議決定した。しかしながら、このように今後の同電力の自立的経営が極めて困難な状況の下では、民営移行だけで沖繩の電力事業の安定的運営が可能か否か極めて疑問であり、却つて電力問題の解決を遠ざけることになりはしないか憂慮せざるを得ない。政府は、この方針を再検討すべきであると考えるがどうか。
 仮に既定方針どおり、これを民営に移行するとするなら、政府は、累積赤字二百十三億円をどのように解消するのか、具体策を示されたい。

  右質問する。