質問主意書

第93回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

沖繩県における国際児(混血児)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年十月二十七日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   沖繩県における国際児(混血児)に関する質問主意書

 沖繩県には周知のように、全国の約五十三パーセントの米軍基地が集中し、米軍人が約三万五千人駐留している。その結果国際児(混血児)も増え続け、国際福祉沖繩事務所の調べによると、沖繩には約四千人の国際児がいるものと推定されている。そしてそのうち約八十パーセントが非嫡出子、いわゆる母子家庭の子であり、貧困・差別・無国籍児など大きな社会問題ともなつている。
 このような沖繩の国際児に関する問題は、戦後三十余年にわたる広大な米軍基地の存続と米軍人の駐留に基づいて発生したものであり、政府の責任によつて解決すべきものと考える。
 よつて以下質問する。

一 アメリカ人父親が妻子を遺棄して帰国してしまい扶養義務の履行を怠つている例が多い。このようなアメリカ人父親に対し、扶養料の支払い等扶養義務を履行するよう政府として何らかの対策を講ずる考えはないか。
 また、離婚したアメリカ人父親に対するわが国裁判所の扶養料の支払い等に関する判決の実効性を確保するため、日米間で相互協定を締結する等何らかの対策を講ずるべきものと考えるがどうか。

二 貧困な国際児の家庭を救済するため、国庫の補助による「日米児童福祉基金」を設立するべきものと考えるがどうか。

三 アメリカ合衆国移民及び国籍法第三〇一条a項七号によると、アメリカ合衆国籍を有する父が一定の居住要件を欠くときには、子はアメリカ合衆国籍を取得しないものと定められており、またかかる子は出生によつて当然には日本国籍を取得するものとはされていないため無国籍となる事態が生ずる。このような無国籍児が沖繩県には多数おり、大きな社会問題となつている。

(1) 政府は、このような無国籍の国際児の実態をどの程度把握しているか伺いたい。もし把握していないというのであれば、早急に調査し対策を講ずべきものと思うがどうか。
(2) このような無国籍児を今後生じさせないために、また男女平等の見地からわが国の国籍法を改正し、現行のいわゆる父系優先血統主義を父母両系主義に早急に改めるべきものと思うがどうか、政府の方針を伺いたい。
 右の改正については外国の兵役法とわが国の国内法との関連等いろいろな問題があると聞いているが、政府として右改正に関連していかなる理由でいかなる問題が生ずると考えているか伺いたい。

四 日本に帰化を希望する国際児に対し、政府は帰化手続の説明を徹底してするべきものと思うがどうか、今後の対策を伺いたい。

  右質問する。