質問主意書

第93回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

高速自動車道に係る低周波空気振動公害の対策樹立等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年十月二日

峯山 昭範   


       参議院議長 徳永 正利 殿


   高速自動車道に係る低周波空気振動公害の対策樹立等に関する質問主意書

 高速自動車道に係る低周波空気振動による周辺住民の健康被害問題が顕在化してからすでに相当の年月を経過しているにも拘らず現在まで何ら有効な対策が講ぜられていないことは誠に遺憾である。
 日夜肉体的・精神的苦痛にさいなまれている住民の窮状をこれ以上放置しておくことは公害対策の基本理念にももとるものであり、問題の速やかな解決を図ることが政府の責務であると考える。
 そこで、以下の諸点について質問する。

一 低周波空気振動の健康影響について

1 低周波空気振動の健康影響についてはいつからどのような調査を実施しているか。その結果、現在までにどのような点が解明されたか。また、未解明な点は何か。
2 1の調査の結果に基づき、左の諸点について明らかにされたい。

(一) 生理的・心理的悪影響によりどのような症状を惹起するものであるか。
(二) どの程度の低周波空気振動のレベルでどのような健康影響が生じるのか。

3 未解明な点について今後どのような内容の調査を進めるのか。また、いつ頃その解明はできる見通しをもつているのか。

二 低周波空気振動の環境基準設定等について

1 公害対策基本法において振動は環境基準設定の対象となつていないが、その理由は何か。
 また、今後、振動の環境基準を設定する考えはないか。
2 低周波空気振動は、振動規制法にいう振動の概念に含まれるか。また、公害対策基本法にいう振動の概念に含まれるか。それらの根拠を明らかにして説明されたい。また、その間の関連について説明されたい。
3 低周波空気振動の環境基準及び規制基準を設定する考えはあるか。また、その時期はいつ頃になるか。
4 地面振動と空気振動とのレベルの相関関係について説明されたい。
5 振動規制法の制定時において地面振動の人体影響はどの程度解明されていたか。それは、現在における低周波空気振動の人体影響の解明度と比べてどちらがどの程度進んでいるのか。そのちがいの主な理由は何か。また、低周波空気振動の人体影響についてどの程度解明が進めば法規制、基準設定を行うつもりか。その時期はいつ頃になるか。
6 法規制、基準設定がなされるまでの間、どのような対応をするつもりか。発生原因者に対して勧告等行政指導を行うつもりはないか。
7 騒音、振動(空気振動を含む)を公害健康被害補償法の対象にすべきであると思うが、その考えはないか。

三 西名阪自動車道・香芝高架周辺の低周波空気振動公害について

1 発生源は何か。どの程度の周波数及びレベルの空気振動が発生しているのか。
2 被害の実態をどう把握しているか。
3 被害者同盟は、日本道路公団に対してどのような要求を行つているのか。
4 3に対して公団は、現在までにどのようにどう対処したか。今後どう対処するつもりか。
5 公団は、環境基準又は規制基準がない限り道路及び家屋の補修等を除いては、対策を講じない方針と聞くが、現在もこの考えに変りはないか。また、これについて環境庁は、どのような見解をもつているか。
6 環境庁は、公団に対して現在までどのような働きかけを行つたか。その結果はどうなつたか。

(7) 低周波空気振動の人体影響についてたとえ詳細なメカニズムが解明されなくとも、発生源が特定されており、かつ、そこから隔離すれば症状が消失するといつた実態がある以上、健康診断はもとより医療補償、肉体的・精神的損失に対する賠償、家屋移転補償及び交通規制を含む発生源対策を実施すべきだと考えるが、今後どのように対処するつもりか。

  右質問する。