質問主意書

第91回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九号

内閣参質九一第一九号

  昭和五十五年五月二十日

内閣総理大臣 大平 正芳   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員鈴木一弘君提出二条大麦の需給改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員鈴木一弘君提出二条大麦の需給改善に関する質問に対する答弁書

一について

1 醸造用の麦芽製造能力(年間)は、現在約十七万三千トン(玄麦量)であり、麦芽製造能力の向上については、次のような問題があつて、ビール会社等は消極的である。

(一) 国産麦芽の価格は、輸入麦芽の価格の約三・六倍であつて、割高であること。
(二) 輸入麦芽(輸入大麦)は、良質なものを選択輸入できるので、一般的に品質が安定しているが、国産の醸造用二条大麦は、過去の経緯からみて、天候等によつて品質が大幅に左右されることがあり、品質的なふれが大きいこと。
(三) 麦芽製造設備の増強には多額の資金を必要とすること。

2 また、醸造用二条大麦は、従来から生産者とビール会社等との間で契約栽培が行われてきているので、今後とも民間流通の原則を尊重していく必要があり、政府の行い得る指導にはおのずから限界があると考える。

二について

 農産物の輸入は、当該農産物の国内生産と調和のとれた形で行われることが望ましい。
 このような観点から、醸造用麦芽の輸入については、輸入が自由化された昭和四十九年十月以降、国内産麦の安定的引き取りが確保されるよう関税割当てを行つてきているところであり、今後ともこの趣旨に沿つて制度の運用を図つてまいりたい。

三について

 麦の生産性の向上を図るため、地域農業生産総合振興対策等において集団麦作の促進、乾燥調製施設の導入等を総合的に推進している。
 また、農業生産資材の価格については、適切な価格が決められるよう努めるとともに、常時価格動向をは握し、便乗値上げ等が行われないよう関係者を指導している。

四について

 醸造用二条大麦については、ビール等特定の商品の原材料であるので、従来から生産者とビール会社等との間の契約栽培により民間流通が行われてきているところであり、今後とも民間流通によることを原則とし、その生産・流通の健全な発展を図つてまいりたい。
 なお、醸造用二条大麦について需要を上回る生産があつた場合にも、それが食糧用に供し得る品質のものであれば、食糧管理法第四条ノ二の規定に基づく政府買入れを行い、円滑な生産・流通が行われるよう措置しているところである。

五について

 二条大麦のうち食糧用に供し得る品質のものについては、生産者等の売渡しの申込みに応じて、政府買入れの対象としている。
 他方、醸造用及び飼料用とされるものについては、契約栽培により民間流通が行われており、これらの契約数量の大幅な拡大は、外国産との価格差が大きいため、困難な面があるが、水田利用再編対策の円滑な推進を図る観点からも、引き続き努力してまいりたい。