質問主意書

第91回国会(常会)

質問主意書


質問第二一号

元陸海軍従軍看護婦の処遇に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年五月十日

二宮 文造   


       参議院議長 安井 謙 殿


   元陸海軍従軍看護婦の処遇に関する質問主意書

 政府は、昭和五十五年度から調査費を計上し、「元陸海軍従軍看護婦の実態調査」の実施に着手しようとしている。このことは、元陸海軍従軍看護婦に対する処遇改善への第一歩として一応の評価を与えたい。
 しかし、昭和五十四年度に元日赤従軍看護婦に対する慰労給付金制度が発足してから僅か一年の間に、「元陸海軍従軍看護婦の会」の会員五人が一日も早い戦争の犠牲に対する償いの措置を念願しながら、次々と高齢が主な原因で他界している状態であり、会員に大きなショックを与えている。
 そこで、次の事項について政府の明確な見解を承りたい。

一 政府は、昭和五十五年度から「元陸海軍従軍看護婦の実態調査」に着手することになつたが、この調査は、元日赤従軍看護婦に対すると同様な慰労金支給措置を講ずることを念頭においたものと理解してよいか。

二 調査対象者は約二万三千人と推定され、昭和二十年の厚生省の留守名簿・帰還者名簿等でも五千七百四十一人の従軍看護婦がいるといわれている。これらの調査対象者の現住所の確認調査だけでも、かなりの時間がかかることは否めない。
 しかし、「元陸海軍従軍看護婦の会」に加入している者に限つてみても、平均年齢は六十・七歳となつており、高齢化が進み、実態調査が長引けば、今後ますます償いを受けないまま他界する者が多くなることは必至である。
 そこで、現在、実施しようとしている実態調査は、来年度から慰労給付金の支給ができるように調査を完了すべきであると思うがどうか。
 さらに、仮に、実態調査が長引くならば、調査が終了した確認者から給付金の支給を実施すべきだと思うがどうか。

三 実態調査は、厚生省援護局において実施することになつているが、肝心の給付金支給の責任官庁が未だに明確化されていない。厚生省が実態調査に引き継いで援護行政の一環として実施するのか。それとも、恩給行政の一環として総理府が所管するのか。この際、給付金支給業務の実施官庁を明確にしてもらいたい。

  右質問する。