質問主意書

第91回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

二条大麦の需給改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年五月九日

鈴木 一弘   


       参議院議長 安井 謙 殿


   二条大麦の需給改善に関する質問主意書

 近年、二条大麦の生産量は、昭和五十三年度を初年度とする水田利用再編対策の実施等に伴い、増加する趨勢にある。
 すなわち、全国の作付面積は、昭和五十二年産の五万三千ヘクタールから、昭和五十三年産七万ヘクタールに、また昭和五十四年産については、八万四千ヘクタールへと増加し、生産量も昭和五十四年産は約二十九万四千トンに達した。
 一方、需要は、最近までビール醸造用の麦芽原料として安定した需要に支えられ、農家の販売価格も、ビール製造会社との栽培契約に基づき六条大麦を上回る実績が確保されており、農家の栽培意欲も旺盛であつた。
 ところが、近年、二条大麦の生産量が増大してきたことに伴い、ビール製造会社が買取契約数量を抑制する方向を示してきており、生産農家の生産意欲を著しく阻害する状況が生じている。
 このような二条大麦の需給実態に鑑み、生産農家の経営安定の観点から、以下の諸点について、政府の所信をただしたい。

一 現在、二条大麦需給は、ビール製造会社における麦芽製造能力に限界があるという理由で、農家の生産拡大意欲を阻害しているのが実態であるが、政府として麦芽製造能力の実態を明らかにするとともに、この問題の解決のために麦芽製造能力の向上対策を早急に講ずることについてどう考えるか。

二 現在、わが国の醸造用麦芽の使用量は、昭和五十三麦芽年度についてみると、輸入麦によるもの約三万トン、輸入麦芽約五十万九千トンの計約五十三万九千トンであるのに対し、国内産は十万二千トンが使用されているに過ぎない。
 よつて政府は、国内の麦作経営の安定を図るため、麦芽輸入調整対策を実施すべきだと考えるがどうか。

三 政府は、麦を水田利用再編対策における特定作物として位置づけ生産振興を図る方針であるが、そのためにも、二条大麦の需要を積極的に拡大させる施策とあわせ、水田麦作における生産性向上や資材価格安定のための対策の強化などに一層の努力を払うべきであると考えるが具体的対策はどうか。

四 国内産麦については、食糧管理法第四条ノ二の規定に基づき「政府ハ……無制限ニ買入ルルコトヲ要ス」とされている。
 ところが、現実には、生産農家と需要者との契約栽培が行われているため、その需要量に見合つた生産を行うよう指導されているのが実情である。
 この際、政府が積極的に買入れる姿勢を明確に示すべきではないか。

五 政府は、水田利用再編対策の実施に当たつて、麦、大豆、飼料作物については、今後も自給力を高めていかなければならないものであり、将来にわたつて、これらの作物が余剰になることはないと明言しているが、既に、特定作物の二条大麦について、相対的な過剰が表面化している。水田利用再編対策に対する信頼性を確保する上からも、二条大麦の需給対策を早急に樹立する必要があると考えるがどうか。

  右質問する。