質問主意書

第91回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

甲陽学院高校跡地を甲子園大会の練習グラウンドとして確保することなどに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十五年四月九日

市川 正一   
安武 洋子   


       参議院議長 安井 謙 殿


   甲陽学院高校跡地を甲子園大会の練習グラウンドとして確保することなどに関する質問主意書

 春のおとずれと共に迎えた第五十二回選抜高校野球大会は、今年も全国三十校の代表チームの躍動感あふれた敢闘プレー、フェアプレーによる多くの感動的名場面、名勝負を全国高校野球ファンの脳裏に焼きつけ、四月六日開幕した。
 半世紀を超える歴史を経過した春、夏の高校野球大会は、今日では数千万人にもおよぶ高校野球ファンの耳目をひきつける国民的なスポーツ行事となつている。
 このように発展をとげた背景には、日本高校野球連盟をはじめとした関係者の献身的努力、厳しい練習を積んだ選手の真摯なプレーなどとともに、過般、逝去された故佐伯達夫高野連会長も強調されたように、「教育の一環としての高校野球」という本来の目的が、多くの国民の支持と共感を得てきたことがある。
 同時に、こうした高校野球の発展と切り離せないのが、高校野球大会の舞台となり、高校球児はもちろん青少年球児の憧憬の的となつてきた甲子園球場とともに、同球場に隣接し出場校の練習グラウンドとして鍛えぬかれた技価の発揮と気力あふれるプレーを支える一助となつてきた私立甲陽学院高校グラウンドである。現に、多くの甲子園大会出場経験を持つ球児達にとつて、甲陽学院高校グラウンドでの試合直前の練習も想い出のひとコマとして残つているといわれる。
 ところが三年前の一九七七年四月に、私立甲陽学院高校が移転したため、同校グラウンドが使用できなくなり、現在では近隣校の協力を得ているとはいうものの、従前に比較して練習場確保に不便が生じていることはいなめない。現に、甲子園大会に出場した各校の監督も、この練習グラウンドの存続をこぞつてつよく希望している。
 そして、このことを契機に、高校野球関係者や甲子園球場、甲陽学院のある西宮市の市民を中心に、甲陽学院高校跡地を利用して、高校野球発展の歩みを保存、展示する高校野球記念館の設立と大会出場校の練習グラウンドとして確保するという提案と運動がおこつている。この構想については、西宮市議会において同市市長が基本的に賛意を表明しているところでもある。この点について、衆議院においては木下元二議員もとりあげているが、教育の一環としての高校野球の一層の発展を願う立場から、こうした構想を実現するため以下質問する。

一 谷垣文部大臣は、今選抜大会の祝辞で「高校野球の目的は教育の場として心身を鍛えることにある」と強調されたが、半世紀を超える高校野球の歴史には、錬磨に耐え心身を鍛えることの大切さや、健康的な青春の姿、フェアな競争や連帯と友情など学びとるべきものが蓄積されている。
 したがつて、大会の変遷や歩みを示す資料、野球用具の変化などを収集、保存、展示する高校野球記念館をつくることは、教育の場としての高校野球の振興をはかるうえでも有意義なことである。
 そこで、甲子園大会とゆかりの深い甲陽学院高校跡地を利用して高校野球記念館をつくるため、国としても高野連や西宮市などの意見を踏まえ、積極的な財政的援助を方法も含め検討すべきではないか。

二 また、旧甲陽学院高校グラウンドを公立球場としてのこし、大会中は甲子園出場校の練習グラウンドとして利用できるようにするため、国として西宮市に対し特別の財政的援助などを検討すべきではないか。

 以上、二点について、政府が積極的な対応をされることを求める。

  右質問する。