質問主意書

第88回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

敗戦によつて失われた在外私有財産に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年九月四日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 安井 謙 殿


   敗戦によつて失われた在外私有財産に関する質問主意書

 わが国は、太平洋戦争の敗北の結果日本人の在外財産をいわゆるサンフランシスコ条約等で放棄した。このため多数の在外日本人は生活の根拠を一瞬にして失い帰国せざるをえなかつた。国はこれらの引揚者に対し、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律等で援護措置をしているが極めて不十分である。
 そこで以下の点について質問する。

一 戦時中の在外私有財産の額はいくらであるか、国別に示されたい。

二 国は、いわゆるサンフランシスコ条約等で自国民の有する在外財産を放棄したのでありこれは国の行為に由来するのであるからその法的責任は国にあると思うがどうか。

三 本来ならば、私有財産不可侵の原則により原所有者に返還されるべき在外財産が、いわゆるサンフランシスコ条約締結の結果、戦争損害の賠償に充当されたことは、国が戦争損害の補償義務履行という公共の目的のためにこれを処分したのと結果において同じであり、したがつて国は憲法第二十九条第三項の趣旨から正当な補償をすべきものと思うがどうか。

  右質問する。