質問主意書

第87回国会(常会)

答弁書


答弁書第二七号

内閣参質八七第二七号

  昭和五十四年六月二十七日

内閣総理大臣 大平 正芳   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員佐藤昭夫君外二名提出サラ金規制強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員佐藤昭夫君外二名提出サラ金規制強化に関する質問に対する答弁書

一及び二について

1 貸金業の規制の問題については、関係省庁においてもその社会的重要性にかんがみ、第八十七回国会において立法化されることが必要であるとの共通の認識の下に、行政当局としての対応能力面等をも勘案しつつ、関係方面の意見をも参考としながら、鋭意検討を重ねてきたところである。
2 次期国会において貸金業規制に対する実効性ある法規制が実現するよう今後とも努力を重ねてまいりたい。

三について

 貸金業者について、登録制を導入して不適正な業者を排除し、かつ、種々の行為規制を課するとともに、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締等に関する法律」第五条の金利を大幅に引き下げる等貸金業者に対する規制の立法措置が講じられることとなれば、債務者保護の強化が図られ、債務者においても容易に貸付条件、返済金額、元本残高等を確認することが可能となる。
 このような新たな状況の下で、債務者が利息・損害金を任意に支払つた場合には、その元本充当及び返還請求権を認めないこととしても、債務者保護に欠けるとはいえないと考える。他方、元本充当及び返還請求権を認めることにすれば、貸金業者の現状からみて、業者がやみにもぐる事態も予想され、法の意図する種々の行為規制の実効性が確保されず、かえつて債務者保護に欠けることとなるおそれがあると考える。

四について

1 国民生活審議会消費者政策部会は、長期的観点から消費者信用の各形態に共通する基本的事項について、その在り方の検討を行い、昭和五十三年九月の「消費者信用の適正化について」(中間報告)において、信用供与条件の開示の徹底、契約内容の適正化、消費者信用に関する金利規制の適正化の検討などの必要性を指摘している。
2 政府としては、この中間報告の趣旨を勘案しつつ、関係省庁において、各信用形態の適正化について、取引の実態に即した検討を進めてまいりたい。

五について

 貸金業問題について政府としては、これまでも「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締等に関する法律」第八条に基づき貸金業の実態調査を行い、また、消費者被害の実態等のは握に努めるとともに、庶民金融業協会の定款金利引下げ等の指導を強化し、また、貸付方法・取立方法の改善等行為規制に関する指導通達を発するほか、困りごと相談の受理体制の整備等により消費者の啓発を図り、更に、悪質事犯の重点的・継続的取締りを実施する等現行法令の下でできる限りの措置を講じてきているところである。今後とも、これらの措置を含めできる限りの努力をしてまいりたい。