質問主意書

第87回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二号

内閣参質八七第二二号

  昭和五十四年七月三日

内閣総理大臣 大平 正芳   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員久保亘君外一名提出公務上災害の補償給付に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員久保亘君外一名提出公務上災害の補償給付に関する再質問に対する答弁書

一及び三について

 御指摘の職員の公務上の災害に係る療養の費用のうち鹿児島県市町村職員共済組合が支払つたものについては、地方公務員災害補償基金(以下「基金」という。)が昭和五十一年七月十五日にその額を当該共済組合に支払つており、そのほか、第三者が昭和四十九年から昭和五十三年にかけて損害賠償として支払つたものを含め、現在医療機関に対し未払となつているものはないと聞いている。当該職員に対し、基金から直接療養補償として療養の費用が支給されなかつたのは、当該職員から請求がなかつたためであると聞いている。
 なお、一部の医療機関が直接当該職員に医療費等を請求したのは、医療機関の判断によるものと思われる。

二について

 ある傷病が公務上の傷病に係るいわゆる「続発症」又は「合併症」であるかどうかについては、改めて基金において認定されることが必要である。この認定は被災職員からの認定請求に基づいて行われる。
 本件についても、所定の手続として「公務災害傷病名追加認定請求書」が地方公務員災害補償基金鹿児島県支部長(以下「支部長」という。)に対して提出され、審査の対象とされたものである。

四について

 基金から事情を聴取したところによれば、次のとおりである。

1 阿久根市の内山病院には、富士火災海上保険株式会社が昭和五十三年十月三十日に十八万百円を鹿児島銀行を通じ一括して支払つている。
2 第三者が御指摘の職員の公務上の災害に係る療養について医療機関に対して行つた損害賠償の総額は百一万六千二百八十八円であり、その医療機関名及び支払年月日は1のほか、次のとおりである。

(一) 水俣市立病院          昭和四十九年十一月十四日及び昭和五十年一月二十日
(二) 本庄病院(鹿児島県伊集院町)  昭和五十三年六月二十三日

五について

 基金から事情を聴取したところによれば、基金が御指摘の職員の公務上の災害に対して行つた療養補償十七万六千五百八十円の内訳は、次のとおりである。

(一) 昭和四十九年十月四日の水俣市立病院における療養に対して   三千五百三十円
(二) 昭和五十年一月二十四日から同年三月七日までの阿久根市の山田病院における療養に対して   十六万七千百二十円
(三) 昭和五十年三月二十八日の鹿児島市立病院における療養に対して   三千二百七十円
(四) 昭和五十年三月二十八日の鹿児島市の米盛整形外科における療養に対して   二千六百六十円

 なお、公務上の災害に係る初診料等で療養上相当と認められ、かつ、第三者から損害賠償を受けていないものについては、補償を受ける権利に基づき請求が行われれば療養補償の対象となる。

六について

 基金が行つた補償については、昭和五十二年十二月二十六日及び昭和五十三年十二月二十五日に求償を行い、昭和五十四年二月二十日に弁済を受けた。
 基金が補償を行つたときは、補償を受けた者は当該補償額の限度において損害賠償請求をすることができないものであるから、示談が成立する前に基金が補償を行つたことにより第三者に対して求償権を行使したとしても、被災職員の損害賠償請求権を侵すことにはならないと考えている。
 なお、公務上の災害に係る療養の費用について、第三者により損害賠償が行われた場合には、重ねて基金による療養補償が行われることはない。

七について

 御指摘の職員の公務上の災害に係る補償についての免責事務は、法令の規定にのつとり適法に行われていると聞いている。
 なお、当該職員に対する治ゆ認定の通知は行われていない。

八について

 地方公務員災害補償基金鹿児島県支部審査会(以下「支部審査会」という。)に対し昭和五十二年六月十五日に行われた審査請求の争点は、支部長が昭和五十二年五月二十四日認定番号「追五一-一 」をもつて行つた災害の公務外の認定の適否に関することである。
 なお、御指摘の支部審査会の会長の見解については聞いていない。

九について

 支部審査会は、昭和五十四年三月二日地基鹿審第八十号をもつて執行停止の申立てに対する意見を求めたところ、支部長は、同年同月三日地基鹿支第百二十七号をもつて当該執行停止を認めるべきではない旨の意見を述べたと聞いている。

十について

(1) 内山病院における療養の費用については、第三者から損害賠償として既に支払が行われているため、基金は免責されていると聞いている。
(2) 基金が「公務外災害」と認定するために阿久根市長に対し認定請求書の提出を求めた事実はない。
(3) 地方公務員法第二十八条第二項第一号は、「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」に職員を休職にすることができるとしており、阿久根市長は、御指摘の職員がこの要件に該当するとして休職処分を行つたものであると聞いている。