質問主意書

第87回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質八七第一号

  昭和五十四年一月二十六日

内閣総理大臣 大平 正芳   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出わが国の過剰米対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出わが国の過剰米対策に関する質問に対する答弁書

一について

 わが国の米需給については、昭和四十六年以降米の生産調整が実施され、各年における米需給の均衡が図られてきたが、近年再び古米在庫量が増加しているのは、生産面において、昭和四十九、五十年ころから国際的な穀物需給のひつ迫等を背景として国内自給力の強化についての国民的関心が強まつた等の事情の下で再び生産者の稲作志向が強まつたこと及び昭和五十一年の冷害を除き連年豊作が続いたことによるところが大きいが、他方、需要面においても、食生活の多様化及び簡便化を背景として米の一人当たり消費量が年々減少していることがもう一つの大きな原因と考えられる。

二について

 米の需給を均衡させつつ農産物の総合的な自給力の向上を図るため、長期的視点に立つて、食味のよい消費者のし好に合つた米への転換の促進、米飯学校給食の計画的拡充等各般にわたり米の消費拡大対策を強力に展開するとともに、水田利用再編対策を推進し、需要の動向に適切に対応し得る農業生産構造の確立を図ることとしている。
 特に、昭和五十四年度においては、米の消費拡大対策について学校給食用米穀の値引幅の大幅な拡大を始め各対策の格段の充実を図るとともに、水田利用再編対策においては、地域の実態に即した農業生産の再編成を一層促進する観点から、基盤整備その他転作条件整備のための諸事業を有効に活用しつつ、都道府県及び市町村の指導を始め、農業団体や農家の理解と協力の下に転作の一層の定着・推進を図つてまいりたい。

三について

 政府古米在庫のうち、不測の事態に備えるための備蓄量を越える過剰分については、その有効利用と保管経費等の節減を図る観点から、昭和五十四年度からおおむね五年間にわたつて工業用、輸出用及び飼料用に売却することによりその計画的な処理を行うこととし、これに伴う所要の立法・財政措置を講じてまいりたい。

四について

 過剰米を援助輸出に向けることについては、今回の過剰米処理においても有効な手段として考えており、今後、相手国の状況、伝統的輸出国との関係等に十分配慮してこれを取り進めてまいりたい。
 しかし、国内米を無償援助に使用することについては、現行食糧管理制度上援助に係る米は無償交付の対象とされていないことのほか、国内米の価格が国際価格に比して著しく高いことから膨大な財政負担が必要となり、援助として必ずしも効率的でない等の事情があるので慎重に検討する必要があると考えている。