質問主意書

第87回国会(常会)

質問主意書


質問第二六号

政府系中小三金融機関の融資制度等の改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年六月十四日

渡辺 武   
佐藤 昭夫   


       参議院議長 安井 謙 殿


   政府系中小三金融機関の融資制度等の改善に関する質問主意書

 長期にわたる不況下で中小零細企業の経営は依然として深刻な状態がつづいている。国民経済の中で大きな比重を占めるこれら中小企業の経営の安定と事業の発展を保障する金融面からの施策の充実は一層重要なものとなつている。現に全国商工会連合会をはじめ中小企業家同友会、全国商工団体連合会など中小零細企業家諸団体からは、政府系三機関の融資制度の改善策につき強く要望がなされているところである。
 かかる経済情勢および国民的要求をふまえ、以下、質問する。

一 不況下にあえぐ中小零細業者の窮状に対処するため、政府系中小三機関にたいする政府助成を一層強めるべきである。例えば、国民金融公庫への政府出資は昭和三十年に五億円積み増して二百億円として以来、実に二十四年の長きにわたり増資されていない。資本金の多寡は、貸出金利の水準、融資条件に大きくかかわる問題である。政府は、三機関のそれぞれにたいし今後増資をおこなう考えはあるのか。ありとすればいつごろ、どのように措置するのか。なしとすればいかなる理由によるのか。また、財投による融資もさらに大幅に増やし、融資ワクの拡大に資すべきであると考えるが、この点について今後どう措置するのか。

二 現在の三機関の貸出金利は、基準金利で国民金融公庫七・七%、中小企業金融公庫七・七%、商工組合中央金庫構成員貸し七・九%である。ところで主として大企業が利用している日本輸出入銀行、日本開発銀行においても基準金利は七・七%とされているが、その貸付のかなりの部分が特別金利により軽減されていることを考慮に入れる必要がある。また、民間金融機関の長期プライムレートも七・七%と同率であり、全国銀行貸出約定平均金利は、五・八七二%(昭和五十四年三月)となつていることも考える必要がある。中小零細企業への援助を目的とする中小三機関の金利水準は、これらに比べて高すぎるものであり、政府系金融機関としての役割を果たすにふさわしくないものといわざるをえない。これらの金利についてさらに引下げができるよう措置するとともに、現行貸付限度額についても引上げるべきだと考えるがどうか。

三 国民金融公庫の支店の増設については、筑豊地域、出雲市、名瀬市、宮城地域、和歌山紀南地域(新宮市)など多くの地域から要望が出されているところである。中小企業者の要望に沿つて利便をはかるうえからこれらの地域についてはどのようにするのか、さらに今後の増設についてどのようにのぞむのか、明らかにされたい。

四 昭和五十二年度より発足した「倒産対策緊急融資制度」は、再三の実施延長により本年九月までとされているが、現下の情勢にかんがみ、さらに延長することはもちろん、恒久制度化をはかるべきであると考えるがどうか。またその運用にあたつては、融資の期間、金利、貸付ワクの拡大等が要望されているが、これについてどう対処するのか。

五 国民金融公庫の業務の円滑化を図るうえで、労働条件の改善は不可欠の問題であり、この件については昨年の通常国会でも多くの質問がなされ、大蔵省、公庫当局もその改善を約束してきたところである。ところが増員問題でも今年度の純増はわずか六十四名で一・四%増にとどまつており、業務の増大にとうてい対応したものとはいいがたく、労働条件の改善も一向にすすんでいないのが現状である。今後の増員、持ち帰り業務の廃止、健康問題の改善につき、一体いかなる措置をこうじてきたのか。また今後こうずるつもりであるのか。具体的に示されたい。

  右質問する。