質問主意書

第87回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

成田空港建設に係る上下水道の整備に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年四月三日

秦 豊   


       参議院議長 安井 謙 殿


   成田空港建設に係る上下水道の整備に関する再質問主意書

 成田空港建設に関連する上下水道の整備に伴い、運輸省・空港公団が犯した違法行為・脱法行為について、これを明らかにすべく、質問主意書を提出し、運輸大臣の御見解を問うたところ、大平正芳首相より答弁書(内閣参質八七第五号)の送付を受けた。しかし、答弁書には不明確・不十分な点が残されていると判断されたので、若干の問題点を追加して、これらにつき、再度、大平首相の責任において関係閣僚・長官の御見解を次により賜りたい。

一 成田空港建設に関連する水道事業及び下水道事業に係る空港公団内部の事務分掌について、運輸大臣の御見解を左により賜りたい。

(1) 空港公団の組織規程の変更により、右分掌事務が計画部総合計画課、建設管理部関連事業課そして工務部管理課と変遷して現在に至つているとのことであるが、空港公団設立時(昭和四十一年七月三十日)以降の右分掌事務の変遷を空港公団の組織規程の変更の年月日とともに再度明らかにされたい。
(2) 右において分掌して事務を担当した歴代各課の事務処理の具体的内容(千葉県との交渉の経過などを含め)および「担当する職務に応じて適した人材」として配置された歴代課長の姓名を示されたい。
(3) 御答弁にある「担当する職務に応じて適した人材」とは、担当する職務に必要な法令に精通していると解してよいのか。

二 たとえば、成田空港内に設置されている新東京国際空港署(以下「空港署」という)に係る上下水道について、警察庁長官の御見解を左により賜りたい。

(1) 空港署が開設された年月日を示されたい。
(2) 空港署に対する上下水道のサービスは、空港公団、千葉県、その他いかなる機関が行つているのか。
(3) 右において、サービスの代価はどのように処理されているのか。

三 成田空港に係る上水道計画(北総地区水道事業)について、厚生大臣の御見解を左により賜りたい。

(1) 千葉県が北総地区水道事業の経営について認可の申請をなした年月日はいつか。
(2) 北総地区水道事業の基本計画によれば、給水区域として千葉ニュータウン、成田ニュータウンおよび成田空港の三つが挙げられているが、昭和四十五年三月三十一日付で認可を受けた給水区域には、成田空港のみが欠けていたと解してよいのか。
(3) 成田空港を給水区域に含めるという事業の変更が、水道法第十条第一項により昭和五十三年三月二十九日に認可されたとしてよいのか。また右認可に係る申請の年月日を示されたい。
(4) 昭和四十六年四月と事業計画書に記載された給水開始の予定年月日は、成田空港以外の給水区域に対するものとしてよいのか。
(5) 現実に給水が開始された昭和四十七年一月十七日には、成田空港へも給水が開始されたとしてよいのか。
(6) 右において、水道料金の支払いはどのように処理されていたのか。
(7) 北総地区水道事業について、水道法第十三条第一項による届出および検査が行われた年月日をすべて、水道法第三条第八項各号の施設ごとに示されたい。
(8) 水道法第六条第一項および同法第十条第一項の認可手続は、事前に行われるべきものではないのか。あわせて事前に行われるべきものと法定した理由を示されたい。
(9) 昭和四十五年三月二十五日に千葉県と空港公団との間で締結されたという上水に係る協定書では、成田空港への給水開始の年月日はどのようになつていたのか。
(10) 右において、協定書の締結に係る交渉が開始された年月日を示されたい。
(11) 昭和五十三年四月一日に千葉県と空港公団の間で成立したという給水契約は、その申込みが、千葉県より空港公団に対する指示に基づいたものか。
(12) 右において、空港公団が同日まで申込みを行わなかつた理由は何か。
(13) 成田給水場から空港受水槽までの送水は、水道法第五条第一項第五号にいう送水施設によつているとしてよいのか。そうでないのならば、同条項第何号の施設によるとすべきものなのか。
(14) 成田空港内の上水道は、空港公団による水道法第三条第六項にいう専用水道ではないのか。
(15) 右において、千葉県知事により水道法第三十二条の確認が行われた年月日を示されたい。
(16) 右において、工事着手および完了の予定年月日、同じく着手および完了の実際の年月日、並びに現実に給水が開始された年月日を示されたい。
(17) 右において、水道法第三十四条第一項で準用される同法第十三条第一項による届出および検査が行われた年月日を示されたい。

四 成田空港建設に関連する印旛沼流域下水道事業(以下「印旛下水」という)について、建設大臣の御見解を左により賜りたい。

(1) 印旛下水が都市計画事業として都市計画法第五十九条第二項に係る認可の申請がなされ、また認可を受けた年月日を示されたい。
(2) 右において、認可申請書に添付された事業施行に必要な行政機関の処分の存在を証明する書類について、どの行政機関のどのような処分が必要とされたのか。
(3) 印旛下水は現在すでに完成しているのか。未完成の部分があれば、それは何か。
(4) 印旛下水の供用開始の予定年月日は、当初いつとされていたのか。またそれが昭和四十九年四月一日と遅延した原因は何か。
(5) 下水道法第二条第四号の規定が基づいたという考えについての御答弁では、印旛下水が成田空港から排除される下水の受け入れを拒否し、もつぱら関係市町村が管理する下水道より排除される下水のみを受け入れると法定している理由が全く定かでない。何故、印旛下水が下水道法上成田空港から排除される下水の受け入れを拒否しなければならないのか。

五 空港公団の設置および管理に係る下水道(以下「公団下水」という)について、運輸大臣の御見解を左により賜りたい。

(1) 空港敷地外の公団下水に係る用地は、道路・河川等の公共用地を横断する以外は、すべて民有地である、または民有地であつたとしてよいのか。民有地は借地か、それとも所有権を取得したのか。
(2) 右において、空港敷地外の公団下水が横断する道路・河川等の公共用地の種類・名称・横断長の横断幅および道路法・河川法等による占使用許可を受けた年月日をそれぞれすべて示されたい。
(3) (1)において、民有地のうち必要な農地転用の許可を受けた年月日を筆ごとにすべて示されたい。
(4) 成田空港に係る都市の健全な発達および公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資するという目的のためには、公団下水(空港敷地内も含め)の施設が満たすべき技術上の基準が公法上存在しなければならないのではないのか。
(5) 右にいう目的を公団下水はどのようにして達成することにしていたのか。
(6) 右にいう目的の達成は、行政上どのような根拠法令に基づいてどのように監督するとしていたのか。
(7) それとも、公団下水はその施設の構造上の基準については「野放し」だつたのか。
(8) 公団下水については、答弁書の末尾で、「業務方法書に特段の規定を置いて運輸大臣の監督を受ける必要がなかつたものであると聞いている」と御答弁されているが、

(イ) 誰れから聞いたのか。
(ロ) 業務方法書で定めるべき内容は、誰れが規定するのか。
(ハ) 業務方法書は、そもそもいかなる目的・理由のために設けられるものなのか。
(ニ) 業務方法書は、成田空港建設に係りどのような効用を発揮したのか。

(9) 空港公団による航空燃料輸送パイプラインの設置については、消防法による規制があつたにもかかわらず、業務方法書で更に規制し、一方、公団下水については、公法上の規制がないにもかかわらず、業務方法書でさえ規制しようとしなかつた理由は何か。
(10) 印旛下水が千葉県により都市計画事業として計画され、設置されたからといつて、運輸大臣の監督を受ける必要がないとした理由は何か。

  右質問する。