質問主意書

第87回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

成田空港建設に係る上下水道の整備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十四年二月十四日

秦 豊   


       参議院議長 安井 謙 殿


   成田空港建設に係る上下水道の整備に関する質問主意書

 空港公団の発刊した昭和四十四年六月三十日付「新東京国際空港の計画」と題するパンフレットは、成田空港が必要とする上下水道の各計画についても言及している。これによれば、上水道計画は「検討している県営水道事業から一括受水することが考えられる」とされ、下水道計画については「空港から発生する汚水は、整備地区からのメッキ廃水、機体洗浄廃水等の工場下水を前処理し、これとターミナルビル等からの一般下水とを合わせ、従来から千葉県で計画していた印旛沼流域下水道に合流させ、終末処理ののち、東京湾に放流する計画であつて、空港と印旛沼流域下水道との合流点(酒々井地先)までの約十二キロについては、空港公団の単独事業として計画することになつている」旨記載されている。
 昨年五月二十日に供用を開始した成田空港の上下水道の計画及び実態について、空港公団法第三十六条により空港公団に対する監督権限を有する運輸大臣の御見解を以下により賜りたい。

一 空港公団における上下水道に係る事務の所管等について

(1) 昭和四十四年六月段階で、上下水道に係る事務を担当していたのは、建設管理部関連事業課か。その後変更があれば、現在に至るまでの経緯をあわせて明らかにされたい。
(2) 上下水道に係る事務を担当するのであれば、関連事業課長等としては、水道法や下水道法に係る知識が必要ではないのか。
(3) 空港公団における上下水道計画の決定にかかわつた関連事業課長は、長井弘之氏か。違うならば、それは誰か。
(4) 水道法及び下水道法の政府における所管は、それぞれ厚生省及び建設省としてよいのか。

二 成田空港に係る上水道計画について

(1) 千葉県が水道法第六条第一項により成田空港を給水区域に含む水道事業に係る厚生大臣の認可を受けた年月日を示されたい。
(2) 右事業計画における給水開始の予定年月日及び現実に給水が開始された年月日を示されたい。
(3) 空港公団と千葉県との間に成田空港の上水確保に関して、給水開始以前、更には、成田空港が給水区域に編入される以前に、協定書又はそれに相当するものが締結されていたか。締結されていたとすれば、その年月日をあわせて示されたい。
(4) 空港公団が成田空港について千葉県に対し、水道法第十五条第一項による給水契約の申し込みをした年月日、契約成立の年月日を示されたい。

三 印旛沼流域下水道について

(1) 千葉県が下水道法第二十五条の三第一項により、印旛沼流域下水道事業に係る建設大臣の認可を受けた年月日を示されたい。
(2) 右下水道事業計画で定められた流域関連公共下水道が接続する位置、流域関連公共下水道の予定処理区域、並びに工事着手及び完成の予定年月日をそれぞれ示されたい。
(3) 下水道法第二十五条の六により通知された印旛沼流域下水道に係る処理を開始すべき年月日及び現実に処理が開始された年月日をそれぞれ示されたい。
(4) 下水道法第七条の構造の基準が、公共下水道及び流域下水道に係る各事業の認可の要件とされている理由を明らかにされたい。
(5) 下水道法第二条第四号で、流域下水道がもつぱら地方公共団体の管理する下水道により排除される下水を受けると規定している理由を明らかにされたい。
(6) 空港公団と千葉県との間に成田空港の下水処理に関して、処理開始以前、更には、成田空港が処理区域に編入される以前に、協定書又はそれに相当するものが締結されていたか。締結されていたとすれば、その年月日をあわせて示されたい。
(7) 成田空港から印旛沼流域下水道に排除される下水の中に含まれる、又は含まれる可能性のある物質は、濃度はともかくとして、下水道法施行令第九条の四第一項各号の中のどれか。

四 成田空港から印旛沼流域下水道との合流地点(酒々井地先)までの下水道は、空港公団の単独事業として計画することになつているということについて

(1) 右単独事業に係る下水道は、空港公団の自家用下水道として設置されるものとしてよいのか、また維持管理も空港公団が行うとしてよいのかあわせて示されたい。
(2) 右単独事業に係る用地には、民有地が含まれていたか。含まれていたとすれば、地権者の数、筆数、全長に占める割合、面積、地目を明らかにされたい。
(3) 右単独事業に係る公法上の規制は、下水道法に相応するというべきいかなる法規によつているのか。
(4) 右単独事業において、下水道法第七条の構造の基準は、いかなる公法上の手続で確保されているのか。
(5) 下水道法を所管する建設大臣が、右単独事業に法令上介入できるとすれば、いかなる法令によるとするのか。
(6) 成田空港と千葉港頭間を結ぶ本格パイプラインの消防法の許可を受けず違法に埋設したとの指摘に対し、松木洋三航空局新東京国際空港課長(当時)は、空港公団法第二十四条の定める業務方法書の規定に基づき、給油施設の建設及び管理規程を定め、これに基づき、運輸大臣の監督下に本格パイプラインを建設してきた旨の答弁をしているが、右単独事業について、業務方法書で規定していない理由は何か。

  右質問する。