質問主意書

第87回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

福田前内閣による成田空港の強行開港に係わる諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十三年十二月二十七日

秦 豊   


       参議院議長 安井 謙 殿


   福田前内閣による成田空港の強行開港に係わる諸問題に関する質問主意書

 福田内閣が成立直後から進めてきた成田開港強行策は、昨年十一月末に田村元運輸相が発出するはめになつた「開港宣言」どおり、去る三月三十日に供用開始という一応の結末を迎えることになるやにみえたが、しかし「三軍可奪師也、匹夫不可奪志也」という中国の故事を何故かしら思い起させるような事態発生の中で延期せざるを得なくなり、福永健司運輸相の「御決断」があつて、幸か不幸か五月二十日に開港するはこびとなつた。
 しかし開港さえすればよい、全てメデタシメデタシ、後は野となれ山となれという運輸省・空港公団とは異なり、国政全体に責を負う内閣総理大臣やその良き女房役たる内閣官房長官としては、それで一件落着とはいかない、成田問題とはそういうものではないということに、遅ればせながら気がついていたようである。いわばテクノクラートの頂点たる道正邦彦内閣官房副長官が主宰する「成田会議」が、成田問題の真の解決策、適正かつ合理的な解決策を事務レベルで導き出さんとして、関係局長等の出席の下に開催されていたという(十一月十五日付読売新聞三面)。福田赳夫首相や安倍晋太郎官房長官の特命を受けてのことと拝察される。
 そこで、内閣交代のためか現在中途半端のまま放置されている成田問題にどのように対処するのか、福田首相の後を受けて新しく選出指名された大平正芳首相の基本的な御見解を左記により賜りたい。

一 大平首相が道正官房副長官の後任に選任された翁久次郎官房副長官に対して、成田問題の真の解決を求めて、前任者が企画・立案し、又は実行していた方針・手続き等全てを包括的に承継させると承つてよいのか。

二 翁官房副長官は、前任者に劣らないテクノクラートの頂点たるにふさわしい執行力、勇気、器量を持ち合せている人材であると承つてよいか。

三 成田問題の真の解決は、運輸省・空港公団の次元では対処し得えないという認識が大平首相にはおありなのかどうか。

四 大平首相は、福田首相から成田問題の処理についてどのように引き継いだのか。

  右質問する。