質問主意書

第85回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質八五第一〇号

  昭和五十三年十二月一日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員秦豊君提出福田内閣による成田空港の強行開港に係わる諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出福田内閣による成田空港の強行開港に係わる諸問題に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 新東京国際空港(以下「新空港」という。)の整備及び円滑な運営については、地元住民等関係者の理解と協力の下に、関係省庁が一致協力して努力すべきものであると考えている。
(2) 新空港に反対する一部の地元農民は、沿革的には、自らの土地を手放すことに反対して闘争を続けてきていると考えられるが、極左暴力集団が、暴力革命を実践する目的で成田問題に介入し、現地に結集して反対行動に取り組み、数多くの悪質な不法事案を引き起こすなど、長期にわたつて過激な闘争を展開してきたことが治安的には問題であつたと考えられる。

二について

(1)及び(2) 新空港は、長期の航空輸送需要に対応し、将来における主要な国際航空路線の用に供することができる空港として設置が計画されたものであり、東京国際空港が航空輸送需要に対応しきれなくなつていたこと、及び新空港への既往の投資が長い間活用されるに至つていなかつたことから、その早期開港が急がれていたが、本年五月開港するに至り、現在、新空港は円滑に運営され、その機能を十分果たしている。
(3)及び(4) 土地収用法は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを目的としている。
 政府及び新東京国際空港公団が行つた新空港に係る土地収用法上の処分、手続その他の行為は、この趣旨に従い、適法に行われている。
(5)(イ)及び(ロ) 土地収用法上起業地とは、土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業を施行する土地のことであり、起業地の具体的範囲は、個々の事業ごとに当該事業に必要な限度において定められるものである。
(ハ)、(ヘ)及び(ト) カテゴリー二の精密進入方式が定められている飛行場に係る進入灯設置区域は、当該飛行場の着陸帯と同程度の高さに整地することが望ましい。
 御質問に係る新空港のA滑走路南側の進入着陸については、できるだけ速やかにカテゴリー二運用を可能にするよう努力している。
 なお、空港整備法施行令第三条は、地方公共団体が行う空港用地の造成又は整備のうち国の補助の対象となるものについて規定したものである。
(ニ) カテゴリー二ILSを利用して精密進入を行う航空機が、電波高度計による高度の精密測定を行うことは、承知していた。
(ホ) 承知していた。
(チ)、(リ)、(ヌ)、(オ)、(ワ)及び(カ) 御指摘のパイプラインを設置する場所の確保については、従来から、道路等の公共施設にあつてはその管理者から占使用の許可を受け、民有地にあつては任意買収により取得する方針をとつてきている。
(ル) 御指摘の法律は、新空港の周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置について規定することを趣旨としている。
(6)(イ)及び(ロ) 手続保留の制度は、大規模な事業等において、全体の用地取得のための手続を一年以内に完了することができない場合等を考慮して、起業地の全部又は一部について収用又は使用の手続を一時保留することができることとしたものである。
(ハ)及び(ニ) 新東京国際空港建設事業は、長期にわたつての航空輸送需要に対応し、将来における主要な国際航空路線の用に供することを目的とする新空港に関する事業であり、当該事業により設置される諸施設及び区域にかんがみれば、当該事業に係る起業地の範囲は適正であつた。