質問主意書

第84回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質八四第一〇号

  昭和五十三年三月二十四日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員秦豊君提出福田内閣による成田空港の強行開港に係わる諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出福田内閣による成田空港の強行開港に係わる諸問題に関する質問に対する答弁書

一について

(1)から(6)まで 新東京国際空港(以下「新空港」という。)は、現在、昭和五十三年三月三十日に開港を迎えるための諸準備をほぼ完了しているところであるが、昭和五十二年十一月末の段階において開港期日を決定するに当たっては、飛行場、航空保安施設の整備状況等御質問の事項を含めて新空港の開港のための諸施策の進行状況を総合的に考慮し、地元の意向も十分配慮した上、昭和五十二年度末に開港することが可能であると判断したものである。
(7)及び(8) 新空港建設に対する反対運動等によりA滑走路南側の航空保安施設用地の一部の確保が遅れている事情から、当面、南側の着陸接地点を七百五十メートル内側に移して同滑走路を運用することとしており、この運用により離発着処理能力に差異を生ずることはないと考えるが、新東京国際空港公団においては、可及的速やかに当初予定した運用を実現すべく努力しているところである。
 また、新空港への長期的な航空燃料輸送は本格パイプラインにより行うこととしているが、本格パイプラインの完成には相当長期間を要する見込みであるので、当面必要とされる燃料については、鉄道輸送による暫定輸送方式により対処することとしており、本格パイプラインについては、三年以内に供用できるよう最善の努力をしているところである。

二について

(1)から(6)まで 各航空会社及び航空利用客のメリット及びディメリットを個々に述べることは困難であるが、新空港が開港されることにより、国際線においては諸外国からの新規乗り入れ要請等を受け入れ難い状況が解消され、国内線においても輸送力の増強を図ることが可能となる。
(7) 新空港の開港後においても、国鉄と航空との関係については、両者がそれぞれの交通特性に応じた輸送分野を分担するという考え方で対処すべきものと考えている。
(8) 新空港の開港に伴い、新空港周辺は、空港関連企業の進出等により発展することが期待されている。
 なお、開港とともに現実化する航空機騒音等については十分な対策を講じてまいりたい。
(9) 新空港は、航空輸送需要に対応し得なくなつている東京国際空港の状況からみて早急に供用を開始する必要があるため、多額の資金を投入してその建設を推進してきたものであり、新空港が供用を開始してその機能を果たすことによつてはじめてこれまでになされた投資の目的が達せられることとなると考えている。

三について

 内閣総理大臣の昭和五十三年二月十七日の指示は、新空港の開港を四十余日後に控え、関係大臣が一致協力して円滑な開港を実現するために努力するようにとの趣旨であつた。
 新空港は、現在、昭和五十三年三月三十日に開港を迎えるための諸準備をほぼ完了しているところであり、開港期日を延期することは考えていない。