質問主意書

第84回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質八四第四号

  昭和五十三年一月十三日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員藤原房雄君提出寒冷地における義務教育施設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員藤原房雄君提出寒冷地における義務教育施設に関する質問に対する答弁書

一について

(一) 一級積雪寒冷地域(冬期平均気温零下五度以下又は積雪量三百月センチメートル以上の地域)に所在する公立小中学校の校舎及び屋内運動場の構造比率は、昭和五十二年五月一日現在、鉄筋コンクリート造が三十八・八パーセント、鉄骨造が十六・一パーセント、木造が四十五・一パーセントとなつている。また、当該地域に所在する公立小中学校の木造校舎及び屋内運動場の面積のうち現行基準上危険改築の対象として取り扱われる建物(以下「危険建物」という。)の面積の比率は二十一・一パーセントである。
(二) 寒冷地に所在する学校の木造校舎においては、暖房設備として一般にストーブが使用されており、その燃料としては石油又は石炭が使用されている場合が多い。また、特に寒冷の度合いの著しい地域に所在する学校の木造校舎にあつては、保温状態を良くするため一部において二重窓、窓のアルミサッシ化等の工事が実施されている。

(三)及び二(一)について

 冬期の室温としては十八度から二十度までが最も望ましく、最低限十度以上に保つべきであり、極端に室温が低下すると手足がかじかみ、学習に支障があるばかりでなく、健康にも悪影響があるといえる。また、寒冷地に所在する学校の早朝、始業時等には室温の低下が著しい場合もあるので、早朝から暖房するなどによつて適切な室温を確保することが望ましい。

二について

(二) 寒冷地に学校を建築する場合、配慮すべきこととしては、適切な暖房設備を設けるとともに、教室の配置に当たつては南側に主採光窓を設けて太陽熱の利用を図ることや、窓等の開口部には建具を二重に設け、外壁等に断熱材を使用するなどして建物の保温を図ることが大切であると考える。このような観点に立つて、現在、学校施設設計指針の改正について検討中である。

三について

(一)(1)及び(2) 昭和四十八年度から昭和五十二年度までの間に六百十八万六千平方メートルの公立小中学校の危険建物の改築を行うこととしていたが、昭和五十二年度までに当該計画面積にほぼ相当する面積の危険建物の改築に対する国庫負担を行うこととしている。
 また、昭和五十二年五月一日現在、危険建物のうち改築を要する面積は、五百六十六万二千平方メートルあり、昭和五十三年度予算案においては、所要の国庫負担額を計上し、当該危険建物の改築の促進を図ることとしている。
   (3)から(6)まで 従来から耐力度点数がおおむね四千五百点以下の建物を危険建物と判定し、国庫負担対象としているが、昭和五十二年度第二次補正予算及び昭和五十三年度予算の執行に当たつては、耐力度点数がおおむね五千五百点以下の建物についても危険建物の改築に係る国庫負担の対象とする方針を立てている。
 また、寒冷地に所在する危険建物の改築については、国庫負担対象事業の採択に当たつて十分配慮しているところである。
 危険建物の改築については、現存する危険建物の解消を図るため、事業量の拡大に努めることとしており、現在、危険建物の改築に係る国庫負担割合を引き上げることは考えていない。
 なお、現在、危険建物の改築に係る国庫負担制度の外、公害の被害校の建物で教育環境上著しく不適当なもの及び旧軍施設の建物その他教育を行うのに著しく不適当な建物で特別な事情のあるものの改築についても補助制度を設け、児童生徒により良い教育環境を整備することに努めているところである。

(二) 寒冷地に所在する学校の校舎及び屋内運動場の必要面積については、一般的な基準に所要の補正を加えたものとしている。また、学校建物の工事費の算定に当たつては、寒冷等の地域的要因を考慮した補助単価によるなど適切な措置を講ずるよう努めているところである。
(三)及び(四) 学校建物の補修工事費、燃料費及び暖房施設の更新費について国庫補助制度を新設することは考えていない。
 なお、現在、地方交付税においては、燃料費及び暖房施設の更新費について、基準財政需要額に寒冷の度合いに応じ所要額を算入している。今後とも実情に応じて必要な額を措置してまいりたい。