第82回国会(臨時会)
答弁書第九号
内閣参質八二第九号 昭和五十二年十二月二日 内閣総理大臣 福田 赳夫
参議院議員目黒今朝次郎君提出日本硝子(株)の不当労働行為ならびに団体交渉拒否等に関する質問に対する答弁書 一について 1 日本硝子株式会社(以下「日本硝子」という。)が大蔵省に提出した最近の半期報告書(昭和五十一年十二月から昭和五十二年五月までのもの)に記載されている大株主の状況によれば、昭和五十二年五月三十一日現在の野村證券株式会社(以下「野村證券」という。)等の株式の保有状況は、次のとおりである。 野村證券 九・一三パーセント
2 日本硝子が大蔵省に提出した臨時報告書によれば、同社は昭和五十二年六月三十日払込みで第三者割当ての方法により八億五千万円の増資(増資後資本金十四億五千万円)を行い、これを野村證券等に対し次のような比率で割り当てている。 野村證券 八・八二パーセント
二について 証券取引法の免許の対象となる証券業務に関しては大蔵省で監督を行つている。しかし、株主として出資している個々の企業の企業運営一般に対する責任の問題については、見解を示すべき立場にない。 三について 野村證券が日本硝子に対し融資をしているという事実は聞いていない。 四について 日本硝子川崎工場及び尼崎工場の全日本硝子製壜労働組合加盟関係労働組合に所属する労働者の当該労働組合からの脱退をめぐる不当労働行為救済申立事件について、神奈川県地方労働委員会及び大阪府地方労働委員会からそれぞれ一部救済命令が出されているが、現在、いずれも、中央労働委員会(以下「中労委」という。)に係属中であると聞いている。
五について 労働組合法上、使用者が労働組合と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むことは不当労働行為として禁止されており、労働省においては、かねてから各都道府県の労政行政機関を通じ、使用者に対しこのような不当労働行為が行われることのないよう助言、指導等を行つてきているところである。日本硝子の具体的な行為が労働組合法第七条第二号の不当労働行為に該当するかどうかについては、労働委員会等の権限ある機関が判断すべきことであるので、政府としてとかくの見解を述べることは差し控えたい。 六について 神戸地方裁判所尼崎支部の昭和五十年六月二十七日の仮処分決定については、同支部への異議申立てを経て現在大阪高等裁判所において係争中とのことであるが、日本硝子は、この仮処分決定に基づき、賃金支払等を履行していると聞いている。 七について 政府としては、関係労使間で十分話合いが行われ、紛争が早期かつ円満に解決されることを期待している。
八について 使用者が地労委の命令につき中労委に再審査の申立てをすることは、法律上認められていることであるので、日本硝子が関係地労委の命令についてこのような方法によつて争うことを制限することはできない。
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