質問主意書

第82回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

国際特許分類に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年十一月二十五日

立木 洋   


       参議院議長 安井 謙 殿


   国際特許分類に関する質問主意書

 国際特許分類(以下IPCという)に関するストラスブール協定は、第七十七回国会において承認された。
 右案件に対する当院外務委員会における昭和五十一年五月十一日の審議において、同僚議員戸叶武君は理事会における全党一致の見解にもとづいた附帯決議に代わる五項目の要望(以下「要望」という)を説明し、外務委員長高橋雄之助君の要望とあわせて、宮澤外務大臣から「特許制度の国際化に対応する体制を整えますために、政府といたしましては関係省庁間で十分協議をし、努力をいたす所存でございます。」との答弁がなされた。
 右答弁にもとづいてその後実施された諸施策について質問する。

一 日本特許分類とIPCに関して次の事項につき説明されたい。

(イ) 両特許分類の特徴および長所と欠点。
(ロ) 今後の分類体系の選択とその理由(両分類並用の場合はその位置づけも含む)。
(ハ) 検索に分類を使用する場合、ファセット分類が望ましいと思われるが、両分類ともその点充分とは考えられないので、そのための補完手段。

二 IPCにつき次の事項を説明されたい。

(イ) 分類シンボルの日本における使用状況(最近のデータにもとづき、サブクラスレベルとサブグループレベルにおける使用頻度統計)。なお、データがあれば米国、ドイツ連邦共和国の同種の統計。
(ロ) 特許関係団体主催の本年三月十四日の「特許情報に関するシンポジウム」で、特許庁技術懇話会の発表した各国におけるIPC付与の不一致に対する対策。
(ハ) 前項の報告によれば米国で付与したシンボルは著しい特異性をもち、その原因が米国特許庁分類の位置づけにあると伝えられるが、米国におけるIPCの位置づけ、今後の方針およびそれに対するわが国の対策。
(ニ) 日本が最も進んでいる分野(例えば、エレクトロニクス関連)、日本特有の技術分野におけるIPCの不適切な点についての改正のための方策と過渡的期間における対策。

三 IPC付与がストラスブール協定批准により義務づけられたことにともなう対応策に関して、次の事項につき説明されたい。

(イ) 「要望」の第一項「特許分類についての法的措置を速やかに講ずること」という形で当委員会の意志が表示されたとおり、協定にもとづく義務により特許公報等にIPCを記載することが必要になる以上、特許法の公報掲載事項に特許分類を法定化する必要があるものと考えられるが、その立法準備状況につき説明されたい。
(ロ) 前項の「要望」第一項中に表示された分類審査機構の抜本的拡充のための施策、昭和五十三年度予算案編成作業における検討事項および今後の計画の概要につき説明されたい。
(ハ) IPC第三版以後の分類改正計画の進行状況およびそれに対する日本政府の提案の概要を、改正作業への過去一年間の参加状況とともに説明されたい。
(ニ) 「要望」第三項のジュネーブ国際機関日本代表部への専任要員の確保に関する検討状況および今後の見通しにつき説明されたい。

四 IPCにもとづく公報発行と利用に関して、次の事項につき説明されたい。

(イ) 特許公報等の部門別編成をIPCを基礎に切替える予定の存否、もしあればその意義とスケジュール。
(ロ) 「要望」第三項の「周知徹底」のために講じた施策および今後の予定。
(ハ) 同第四項の実施のための施策と今後の予定。
(ニ) 公共図書館に対する特許公報の配布状況と閲覧に供する公報の態様(番号順か分類別か)。
(ホ) 分類別で閲覧に供している図書館においては、過去の公報をIPCに再編集する必要が生じると考えられる。その費用は当然国が全額負担すべきものと考えられるが、そのための措置。
(ヘ) 公開公報の発行は公共図書館等の保管スペースと利用効率に新たな問題を引起していると伝えられるが、それに対する行政当局の見解と対策。

五 前記の審議にあたつて片山特許庁長官は、五年先を目途にIPCを主分類に移したい旨説明し、その理由として業務分担や公報発行体制等のIPCへの転換、既存資料の再編成、利用者へのPR等五カ年計画で準備するとの趣旨の答弁がなされ、その過重な負担が分類審査官や一般の審査官の労働強化によつて進行している実情が明らかにされている。
 しかるに最近IPCへの審査体制の転換がきわめて近い将来になされようとしていると伝えられるが、質疑の内容にてらしてその方針にはいくつかの疑問があるのでただしたい。

(イ) 前記片山長官の答弁の時点における五カ年計画について、その内容を項目別に決定機関およびその日付を付して説明し、その後の進行状況および変更があつた場合には、その内容および理由を説明されたい。
(ロ) 前記審査体制の転換の真偽を明らかにされたい。若し事実とすれば

(1) それに関する検討の概要とスケジュール。
(2) 審査体制転換のメリットとデメリット。
(3) 転換に対する特許庁内外からの賛否意見の出所およびその内容。
(4) 前項に対する行政当局の見解と対策につき説明されたい。

(ハ) 特許文献のバックデート分のIPC付与作業につき次の事項を説明されたい。

(1) この作業は、当初WIPOのCAPLI計画の一環として開始され、その後ドキュメント再編計画のベースにするよう計画変更されたと伝えられるが、この目的変更に対応する性格および作業内容の変化についての概要。
(2) 公開および公告のためのアップデート分およびバックデート分のドキュメント一件当たりの平均付与時間。
(3) バックデート分の分類のエラーチェックとその広報のシステムと対策。
(4) サーチファイルのIPCへの切替えの実施計画の概要と項目別のスケジュールとその業務負担に関する部課別業務量(人・日)の試算および所要予算額の試算。
(5) 前項の実施計画の定常業務への影響とその対策。
(6) この計画から生じる職員の負担増を軽減するための措置の概要。

  右質問する。