質問主意書

第81回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質八一第六号

  昭和五十二年八月九日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 西村 英一   


       参議院議長 安井 謙 殿

参議院議員鈴木一弘君提出日豪砂糖協定等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員鈴木一弘君提出日豪砂糖協定等に関する質問に対する答弁書

一について

 日豪砂糖長期契約問題は、民間の商取引上の問題として解決すべきものであるが、政府としては、業界の窮迫した事情、日豪両国間の友好関係の維持発展等の観点から、当事者間の交渉を進展させるべく種々の場を通じて豪州側の理解と協力を求めるとともに、我が国精糖業界に対し所要の指導を行つているところであり、今後ともその円滑な収拾に努めてまいりたいと考えている。

二について

 精糖業界は、国際糖価の急落、国内需要の減退、割高な豪州糖の負担等に加え、業界内部の過当競争もあつて国内糖価はコスト価格を大幅に下回つて推移しており、その経営は極度に悪化し深刻な不況に直面している。
 精糖業対策としては、国内糖価の安定を図ることが極めて肝要であり、昨年十二月から本年五月までの間、二次にわたり砂糖の価格安定等に関する法律に基づく農林大臣の指示カルテルを発動し、糖価の安定に努めてきたところであるが、今後とも需給及び糖価の安定に努めてまいりたい。
 しかしながら、基本的には、過剰設備を抱え、過当競争に陥りやすい精糖業界の構造改善を図ることが必要であり、政府としては、業界を指導し、現在業界内で改善策を検討させているところであり、この検討結果を踏まえ、構造改善の推進に努めてまいりたい。

三について

 構造不況業種からの離職者対策としては、再就職促進のため職業紹介、職業あつ旋に努めるとともに、実態に即して本年十月一日より新たに発足する雇用安定資金制度を重点的に活用し、円滑な職業転換に必要な教育訓練の助成等により、雇用の安定と失業の防止に万全を期してまいりたい。

四について

 現在、精糖業界は巨額の累積欠損を抱え深刻な不況に直面しているが、企業の経営の維持特に資金繰り面においては、商社が果たしている役割も無視し得ない面がある。
 今後、精糖業界の再建を図るためには、需給及び糖価の安定と業界構造の改善を推進することが必要であるが、その際、必要に応じ商社に対しても適切な指導に努めてまいりたい。

五について

1 てん菜及びさとうきびの生産者価格については、砂糖の価格安定等に関する法律に基づく最低生産者価格に加えて奨励金を支払うことにより、農家手取りの確保に努めているところである。
2 現在の農産物価格政策においては、農産物ごとの特性に即して価格支持の仕組みが定められ、これに応じて行政価格の算定方式が定められている。てん菜及びさとうきびについては、パリティ方式が、最低生産者価格の農家購入品等の価格に対する相対関係を一定に維持するという意味において極めて安定した性格を有しているところから、従来採用されてきたものであり、てん菜及びさとうきびの生産態様、生産合理化の可能性等を考慮すれば、パリティ方式によることが適当であると考える。
3 なお、てん菜及びさとうきびは、地域により生産態様、技術水準等が区々であること、天候等による反収の変動が大きいこと等から生産費算定上不安定要素が大きく、生産費を基礎とする価格算定方式は、適当でないと考えられる。

六について

1 輸入糖と国産糖との間には大きな価格差があるので、国内甘味資源を保護し、かつ、国内における糖価の安定を図るためには、砂糖の価格安定等に関する法律に基づく糖価安定制度と併せて、関税(四一・五〇円/kg)を設けておく必要がある。
2 砂糖消費税は、砂糖のし好品としての性格に着目して課税する内国消費税であり、その税負担は諸外国との比較においても必ずしも高いとはいえない。