質問主意書

第81回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

河川区域の認定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年七月二十九日

栗原 俊夫   


       参議院議長 安井 謙 殿


   河川区域の認定に関する質問主意書

 昭和五十二年五月二十日付、栗原俊夫提出(質問第二一号)国土調査法による境界不分明土地の滅失処分に関する質問主意書に対する福田赳夫内閣総理大臣答弁として、昭和五十二年五月三十一日付(内閣参質八〇第二一号)参議院議員栗原俊夫君提出国土調査法による境界不分明土地の滅失処分に関する質問に対する答弁書は、河川区域の認定に関する部分について、次の如く答えている。
 即ち、本件河川区域の認定は、群馬県報に掲示された

告示(昭和十一年四月二十一日告示第二百十号)
烏川左岸高崎市・右岸高崎市碓氷川合流点以下佐波郡芝根村利根川合流点ニ至ル間ノ河川区域ヲ左ノ通定ム左岸ニ建設スル川敷杭一号乃至三〇二号見通線及右岸ニ建設スル川敷杭一号乃至二一二号見通線内ノ土地

 以上の告示によつて河川区域の認定がなされたものであり、河川区域の認定は、川敷杭により河川区域の範囲を明示し、この旨を公示しているのであるから、有効である。と述べている。
 旧河川法に於ては、河川区域の認定によつて、河川区域に認定された土地の所有権は排除される、即ち、所有権は奪われるものと解されてきた。このような重要な行政処分行為は、その手続、内容等について極めて慎重に且つ明確に決定されねばならぬものであるはずである。
 そこで、次の諸点について重ねて質問するので明確な答弁を要求する。

一 前質問主意書でも問題にした、烏川沿岸藤岡市中島地先、同市立石地先、同市立石新田地先の河川区域認定のため告示によつて建設された川敷杭は何号杭であつたか。関係のある川敷杭の本数とその番号を明らかにされたい。

二 川敷杭は洪水等によつて流失や滅失することが予想される。従つて、必要に応じていつでも何回でも川敷杭の位置が再現できるように、川敷杭の位置は客観的に決定されてしかるべきである。しかるに告示の文面には川敷杭の位置については何の表示もない。また、告示以外に河川区域認定に関する文書又は図面等の存在する表示も何もない。
 答弁では、川敷杭により河川区域の範囲を明示しているというが、各川敷杭の位置はどこなのか、いつでも、何回でも位置を再現することができるのか、どのようにしてそれが可能なのか明らかにされたい。仮に、告示文書以外にこの河川区域認定に係わる文書、図面等があつたとしても、それは告示とは全く無縁のものであり、本河川区域の認定に関して全く無効のものである。

三 河川区域の認定告示の文面によれば、建設された川敷杭の見通線の内側の土地を河川区域とするとしている。杭と杭との見通線は直線であることはいうをまたない。また、民有地各筆の境界が一直線上に揃うことは偶然としてでもあり得ないことである。従つて河川区域認定の直線は、民有地を各筆毎に分断することになる。
 そこで、前記藤岡市三部落地先の河川区域認定の直線が交わつた民有地各筆について、所有者名、地籍、地番、地積を一表にして明らかにされたい。

四 更に、河川区域認定の直線が交わつた各筆の土地は、河川区域として所有権を奪われる部分と、民有地として残る部分とに別れるはずである。従つて、河川区域の境界に係わる各筆の分筆状況、分筆によつて民有として残つた部分の地積、地番等がどのように処理されているのか、一表にして明らかにされたい。

五 以上の質問に明確に答えられない場合は残念ながら本件河川認定は無効と断ぜざるを得ないと考えるが所見を伺いたい。

  右質問する。