質問主意書

第80回国会(常会)

答弁書


答弁書第五二号

内閣参質八〇第五二号

  昭和五十二年六月二十一日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員近藤忠孝君提出振動病対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員近藤忠孝君提出振動病対策に関する質問に対する答弁書

一について

1 振動障害についての医療機関については、振動障害を含む職業病に関する健康診断、治療等を行うため、政府としては、労災病院、労災委託病棟等の施設を設置し、その医療設備等の整備、充実に努めている。
2 振動機械を使用する労働者の特殊健康診断については、その実施の促進について行政指導を行うとともに、政府としても林業労働災害防止団体等に委託して巡回特殊健康診断を実施する等特殊健康診断の普及を図つている。
3 医療機器等の整備については、地方公共団体が設立し、管理している機関等の健康診断機関に対し特殊健康診断用機器の整備に要する費用について一定の補助を行つているところである。

二について

1 委託巡回特殊健康診断については、技術的な理由等から、当面、現行の方式を変える考えはない。
2 振動障害にり患した労働者の治療等については、業務上の事由により被災し、療養を要する場合には、症状の程度を問わず、所要の労災補償を行つている。
3 労災保険の業務上外の認定については、今後とも認定基準に基づき迅速、公正に行うよう努めてまいりたい。なお、認定に当たつて、主治医の意見のみでは業務上の疾病かどうか判断できない場合には、行政庁が指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることになつている。
4 休業補償給付については、休業特別支給金を含めると給付基礎日額の八十パーセントとなつている。なお、この給付基礎日額は、法令に基づき賃金実額によつて算定されており、事業主からの「届出賃金」によつて算定されるものではない。

三について

1 林業において使用するチェンソー、刈払機等については、政府は従来から振動の少ない機械の開発、導入に努めてきたところであり、昭和五十一年度からは、林業機械開発改良事業を発足させ、振動対策用機械の開発、改良の推進を強化しているところである。
 なお、昭和五十二年十月までにチェンソーの構造規格を定める予定である。
2 防振器具の購入等については、昭和五十一年度に発足した無利子資金の貸付制度である林業改善資金助成制度により対処しているところであり、今後とも、本制度の資金量の確保、充実に努めてまいりたい。

四について

 振動障害にり患した労働者が、治療後、転職を希望する場合には、職業紹介に努める等再就職の促進に努めてまいりたい。